RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

君が世界のはじまり@チネチッタ川崎  2020年8月1日(土)

封切り二日目。

席数154の【CINE9】は一席空けての案内だと実質77席。
その七割は埋まっている印象。

f:id:jyn1:20200803072612j:plain


舞台となるのは大阪の廃れ始めている地方都市。

唯一のショッピングモールは閉鎖を間近に控え、
そこに屯する人々は行き場を無くし、
働く人は職を失うだろう。

そういった閉塞感の漂う町で
キャラの立ちまくった三組の高校生男女が疾走する。


モチーフそのものはありがち。なので、そこで展開される人間関係とエピソード、
主演扱いの『松本穂香』を楽しみに観に行ったのだが・・・・。

本来なら『縁』を演じた『松本穂香』の地力は頭抜けているハズ。なのに何故か
他の五人と同レベルにまで引き下がり、イマイチ本領を発揮できておらず。

いや勿論、時折きらりと光るものは見せるも
普段の彼女に比べれば不満以外のなにものでもなく。

意図的に低水準に合わせたんじゃないよね監督、と
ついつい訝ってしまうほど。


青春モノであるのに「PG12」のレイティングなのは
喫煙シーンがあるから?それとも
露出の全くないセックスシーンがあるから?

各人が鬱屈を抱えながらも奔放な彼等・彼女等の言動は
実際の高校生のそれよりも1m以上遊離し現実感が希薄な印象。

豪雨の中でのショッピングモールでの乱痴気騒ぎにそれは顕著。

同じ感情の爆発でも『相米慎二』の〔台風クラブ〕により親近感を覚えるのは
自分がおぢさんだからかなぁ。


屈折した六人の想いに対して、周囲の大人たちは
包み込むように優しい。

それは肉親だけにとどまらず、教師は勿論、
ショッピングモールの警備員ですら理解を示す。
要は一種のファンタジー

思春期独特の病にも似た潔癖さに対する処方箋は人それぞれ、
快癒の方向もばらばらながら本作では一応のケリはつけて見せる。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


タイトルの〔君が世界のはじまり〕が示すところも
ラスト近くになり漸くその意図が理解される。

本来ならこの場面こそが、作中の真骨頂であるはずも、
ややあざとい表現に流れてしまったのは少々残念だが。