RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

荒野にて@109シネマズ川崎 2019年4月13日(土)

封切り二日目。

席数118の【シアター3】の入りは三割ほど。

この種の文芸作品にはありがちな席の埋まり具合。


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原題は〔Lean on Pete〕。予告編やフライヤーからの事前予想は
少年が『Pete』と言う名の馬に「Lean on」するお話しかと思ったら
肝心の馬の名前(しかも競走馬)こそが『Lean on Pete』。

海外ではこういったネーミングを良くするのだろうかと
別の面でも興味が湧いた。

もっとも筋立て自体は想定とは違っておらずで
かなりの尺を割いて、人と馬の珍しい逃避行が描かれる。

一種ロードムービー、かつ
実際は過酷な旅程であるにもかかわらず、
一人と一匹の道行きからは、ほのぼのとした印象さえ受ける一連の映像。


家貧しくして孝子顕るとは言うけれど、主人公の『チャーリー』は
駄目な父親に頼ることなく、自身でも日銭を稼ぐ選択をする。

その働き先の競馬場で面倒を見ることになったのが廃馬寸前の『Pete』。

しかしいよいよその日が近づいて来た時に
彼はある選択をする。


が、老齢の我々から見ると、それはあまりにも幼い方向性
(もっとも彼自身、15歳とも16歳とも自称する真正の こども なのだが)、
先のことまで読まずに行き当たりばったりで物事を判断する。

周囲の大人の助言は聞かず、結果障壁にぶつかると向きを変える選択をする。
それが見る側からすればどうにももどかしいし、
予見できない危なっかしい行動に映ってしまう。

ただ逆に、主人公にとって大人は、信頼に足る存在ではないのかもしれない。


紆余曲折の末に落ち着いた結末と、最初から大人の勧めに従っていた結果では
実は差が無かったのかもしれない。

でも旅の間の経験こそが、この先の少年の糧になるのは間違いはない。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


本作では、アメリカの田舎で開催される「草競馬」の様子を知ることもできる。

『フォスター』が表現した情景の本質は、今もそんなには変わってはいないのだろう。