RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

何者@109シネマズ川崎 2016年10月19日(水)

封切り五日目。

席数246の【シアター1】の入りは七割ほど。

特にプレミアムシートを中心に
ハイソな感じのマダムの二~三人連れが多く、
映画の後はお食事、そしてショッピングですかと、
ちょっと羨む眼で見てしまう。


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殆どの人が経験するイニシエーションだろうと思う。

もっとも、随分と経っているから
こ~ゆ~冷静な言いようができるわけで、
三十年前に自分が当事者だった時は
まさに本作の登場人物と同様、かなり切羽詰っていた。

当時は今とは異なり、真夏が解禁日。
慣れないスーツに身をつつみ、
汗を拭きながら企業を訪問する。

最終面接までは行くものの
内定を得られないの繰り返し。
このまま就職できなかったらどうしよう、と
ホントに気が気ではなかった。


入学試験であれば、「点数」という明確な基準がある
(ではあるものの、その頃は点数の公表は無く、
受験番号が無い=点数が足りない、と勝手に解釈していたわけで・・・・)。

一方就活については、何が悪くて落とされたのか
さっぱり判らない。フィードバックもないし。


しかし就職から二十年も経って
自分が選ぶ側に立てば良く判る。

きちんとした所作、丁寧な受け答え、表情の変化、等
相手の一挙手一投足はちゃんと目に入るんだよね。

勿論、昔と違って、履歴書の書き方/面接時の応対等のスキルはアップしていて
差が付き難くなっているのはその通りなんだけど。


って、いけねえ、映画のハナシだった。


就活にまつわる男女五人のお話し。

登場人物個々人の性格付けがホントに良くできている、と
ゆ~か、役者さんの外見とも合っている。

飄々と立ち回り内定を勝ち得るもの、
家の事情で志望を変更するもの、
社会に出ることに真摯に向き合えないもの、
ややステレオタイプだけど、
居た居た、みんな自分の周りに、と納得度は高い。


しかし主人公であり狂言回しである『二宮拓人(佐藤健)』は
なかなか内定を得られない。

ちょっと見には五人の中では一番真っ当そう。
自意識過剰な言動が其処彼処に見えることだけは気になる。
それにしても、何故だろう?

夫々の人物について観客の側の感情移入が完了しただろうと思われる頃を見計らったように
冷や水を浴びせられることが立て続けに起き
肝胆を寒からしめる。

イマドキの若者は多かれ少なかれ、そんな側面を持っているかもしれないし
自分の一部にも当然あるけど、それにしても、だ。
かなり呆気にとられてしまった。


コトの是非は兎も角、ある意味
今の社会現象を切り取り
巧妙に物語に仕立てている。

しかも最初はまるっきり別の意匠を着させているんだから
桐島、部活やめるってよ〕ともども原作者の設計図の描き方が素晴らしい。

当然、このような脚本に仕立て上げ映像化した
脚本家と監督にも同様の賛辞を贈る。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


観終わって外に出ると、
就活中と思われる女子が
スーツを手に持ち歩いているのに
三々五々行き当たる。

10月上旬に内定式はあった様だけど
まだまだ活動中の学生さんも居るってことだよね。

大変だけど頑張れ。
最初は納得が行かない就職だったとしても
昨今、その後の転職の機会は幾らでもあるし、って
全然応援になってないね、これは。