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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

アリー/スター誕生@チネチッタ川崎 2018年12月23日(日)

封切り三日目。

席数488の【CINE12】の入りは七割ほど。


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三度目のリメイク。

原典と一度目は映画業界が舞台も、
二度目と本作は音楽業界となっており、加えて
プロットは全てで共通。

スパースターに見出された冴えない女性が
やがてスターダムにのし上がり、それに反するように
彼女を押し上げた男は次第に身を持ち崩して行く。


同様の流れと没落は2011年の〔アーティスト〕にもあったし、
見い出すという点では『ビリー・ワイルダー』が〔ねえ!キスしてよ〕で
艶笑バナシに仕立てており
普遍的な二つの要素の組み合わせが何度も繰り返され
しかし常に良い結果を生んでいることが判る。


配役も過去作からふるっている。

1954年作の主役はキューピー顔の『ジュディ・ガーランド』、
1976年の前作は鼻の大きな『バーブラ・ストライサンド』、
何れも美形とは言えない見目。

そして本作の『レディー・ガガ』は、そんなに大きな鼻ではないと思うけど、
作中で敢えてそう言わせているのは、ある種のリスペクトなのだろう。


本作の評価点は大きく二つ。

先ずは、主演/監督/脚本/制作をこなした『ブラッドリー・クーパー』。

特にオープニングからタイトルが出る迄の一連の描写には身震いするほどのキレ。

ライブの場面でも常にカメラはステージに居座り、
舞台袖の空気や熱狂する観客を映し出し、その臨場感と共に
一度体験したらおそらく中毒になるであろうスターの高揚感を余すところなく伝える。

イーストウッド』に触発されてとのことだが
これが初監督作とは思えぬほどの手練れ。

恐ろしいほどの才能だ。


そしてやはり主演の『レディー・ガガ』の演技。

歌唱のパートは当然乍ら、それ以外の場面でも
脚本と演出に助けられムリなくこなしている。

正直、期待以上の出来。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


過去作が何れもあまりに良かったので、
安直なリメイクの可能性を鑑み、観るのを躊躇していたのものの、
本国での評価の高さにココロ動かされ、足を運んだ結果は大満足。

唯一の恨みはステージの場面が多すぎた為、
これだけの尺を使ってもドラマの描き方に少々の薄さを感じたことくらいか。