RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

旅のおわり世界のはじまり@109シネマズ川崎 2019年6月16日(日)

封切り三日目。

席数127の【シアター2】の入りは四割ほど。

客層は初老の男性が圧倒的で、これは
主演女優目当てってことだろうか。


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テレビのバラエティ番組の制作ロケの移動と共に
主人公の人間としての成長が綴られるロードムービー

しかも本作、主演の『前田敦子』を念頭に
脚本は「あてがき」された意匠をふんぷんと纏っている。


レポーター/ディレクター/カメラマン/AD/現地通訳の
五人のクルーが2m級の幻の怪魚を求めて
ウズベキスタンを旅して回る。

個人的には「川口浩探検隊」なみのギミックを期待したのだが
此処で起こることはよりシリアス。
どちらかと言えば「世界ふしぎ発見!」に近いかも。

怪魚の捕獲譚だけでは番組にならないので
当地の文化や文物を盛り込む目論みも、
その時点ではや現地の流儀との相克が生まれ
尚且つバブル期に有りがちだった「金で解決をする日本人」と同義を見てしまうのは
ちょっとヤな気分。

もっともこれが現実とは思えないし、他の挿話との対比を際立たせるための
脚本上のテクニックとここでは好意的に捉えておく。


外部との軋轢に加え、クルーの中でも何とはなしにぎくしゃくした雰囲気が漂う。

撮影が思うにまかせないことも理由にはありつつ、
根源にはレポーターの『葉子(前田敦子)』の
周囲との間に見えない壁を築いてしまっている態度にも要因はある。

彼女自身はプロ根性の持ち主で、
大抵の要求にはイヤを言わず応えるものの
今の仕事そのものに疑問を持っており、
それが言動の、特にカメラが止まった後の態度の端々に出てしまう。


長期滞在が確定しているのに、簡単な現地語を覚える気すらなく
私的な外出時でも事前確認をせずに行き当たりばったり、
挙句に街中を彷徨うことも複数回。

なのに行動が改まらないのは、ある意味肝が据わっているのか
それとも投げやりになっているのかと、
かなり共感できない人物造形。


が、複数の失敗の結果、思いもかけない僥倖が訪れる。

それにまつわる複数のエピソードは
前田敦子』の履歴を熟知しているほど頷けてしまうもの。

先に挙げた「あてがき」云々が
故有ることだと了解される瞬間だ。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


とは言え時間の使い方はかなり冗長。

『葉子』があまりにも同じ行為を繰り返すことが背景にあり、
普通ならもっと早く学習するよね、ましてや
彼女は初めての海外ロケじゃない設定でしょ、と
多少イラっと。

もっと脚本を練り込んで欲しかったとの、
これは強い思い。