RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

家族はつらいよ@TOHOシネマズ日本橋 2016年3月14日(月)

封切り三日目。

席数119の【SCREEN4】の入りは七割ほどで、
熟年のカップルが多い。

例えて言えば、
正蔵』がオヤジさんである『三平』のギャグをやると
すかさず笑いが起きる。そ~いった記憶がちゃんとある世代で、
テーマがテーマだから身につまされるんだろうなぁ。


イメージ 1



本作の特徴は大きく二つ。


一つは〔東京物語〕への過剰なオマージュ。

動かないカメラ、バストショットの多用、カット繋ぎ、
下からナメる構図、あらゆるパーツが、それを指し示している。

また、話中で映像を使うだけにとどまらず、
主要な登場人物の姓名までをも倣う。

特に、次男の嫁を演じる『蒼井優』には、
字は違うけれど『憲子』を名乗らせ、
しかも物語の鍵となる役まで負わせるという徹底ぶり。


そして、もう一つは昭和の香り。

熟年離婚というイマドキの主題を扱っているにもかかわらず、
登場人物達は「キミ」「ボク」の呼称や
「別嬪」等の表現を初めとして
あくまでも、往時っぽい科白廻しに拘る。

勿論、先に挙げた要素を、できるだけ守ろうとすれば
自然とそうなってしまう側面もあるんだけどね。


こういった点は、そのまま見ればアンバランスだが、
なにせ喜劇。その不自然さえも、笑いの一端として収斂して行く。

また、先に挙げた客層には、若い頃に体験した懐かしさとともに
想起されるんだろう。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


実際は重い中身にもかかわらず、
ギャグの多用もあり、かなり肩の力が抜けた
軽いティストの作品に仕上がっている。

東京家族〕での役者さん達が、その役柄を変えて
再呼集されたわけだが、監督にとっても
やり易い、心地良い撮影だったのだろう。