RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ファースト・マン@109シネマズ川崎 2019年2月10日(日)

封切り三日目。

席数118の【シアター5】は満員の盛況。


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同じ宇宙を目指す映画でも、
ライトスタッフ〕の登場人物達はかなり違っていた。

チャック・イェーガー』はアウトローだったし、
ジョン・グレン』に至っては、その後の政界進出からも判るように
最初から野心満々。

それに較べて本作の『ニール・アームストロングライアン・ゴズリング)』
ときたら・・・・。


『オルドリン』『コリンズ』を含めた三人の
他の二人を思い出せないことはあっても
『アームストロング』の名前だけは真っ先に想起されるだろう。

が、その記憶の印象に比しても
本編の彼はソフィスティケートされ
物語りの主人公に必要な面白味にはまるっきり欠けている。

では何故、敢えてそんな人物にスポットを当て取り上げたか?


冒頭、件の『チャック・イェーガー』が登場するシーンが。加えて
『ガス・グリソム』の出番もしっかりあることからも
先の一本のその後の物語りであるのは明らか。

にもかかわらず、スペクタクルなシーンを極力抑え、
抑制の効いた主人公の内面に分け入ったエピソードに多くを割いているため
中身自体に違和感を覚える向きも多いかもしれない。


前者であれば、
アポロ11号」の乗組員が月に降り立った1969年7月20日
自分も固唾を飲んで中継を見守っていた数億人のうちの一人。

しかし、着陸そのものの華やかさに対して
それ以前に有ったトライアルや失敗については
当時思い至ることはなかったし、
今日初めて知ることになったと表現しても過言ではない。


後者であれば、
宇宙飛行士本人達は最悪の場合
命を失う可能性の覚悟はできているだろうが、では
銃後を守る妻や家族の思いはいかなものだったか。

此処では、その間の乖離が
次第に大きな溝として広がる過程も描かれる。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


概ね十年にも渡るだいぶんの期間を二時間ちょっとの尺に収めるため
モンタージュを多用し、挿話毎に軽重を付け
テンポ良く繋いでいる。

ある種たんたんとした描写の連続で
盛り上がりに欠けると言えば全くその通りで
とりわけクライマックスである
月面着陸のシークエンスでそれは顕著。

でも、そんな中から浮かび上って来るのは
偉大なことを成し遂げた人物に備わったノーマルさ。
昨今の世情からすれば逆にあまりに際立っている。