封切り五日目。
席数349の【シアター6】の入りは四割ほど。
原作者の『知念実希人』の小説は
〔リアルフェイス〕〔優しい死神の飼い方〕
〔黒猫の小夜曲(セレナーデ)〕を既読。
僅か三冊ではあるけれど、共通してあるのは
中途で犯人や物語の鍵となるアイテムの隠し場所などの推測が
かなりの確率で付いてしまうこと。
なので、本作もそうなんじゃね、と
やや斜に構えた態度で観始める。
ところがどうしてどうして、最後まで
犯人にも動機にも、とんと見当が付かぬ。
特に真犯人については主人公と同じ過ちを犯す始末
(もっとも、共犯者についてはにらんだ通りなのだが・・・・)。
エンディングまでどきどきし通しだったことを
正直に白状しておく。
もっともファーストシーンでややの引っ掛かりはあったのだ。
アメリカならいざ知らず、現金を置かなくなっている日本のコンビニに
拳銃強盗に押し入る意味があるのか、との違和感。
それを持ち続けていれば、謎解きの面では
もっと鼻高々に語れたかもしれん、なぜなら
手掛かりはある程度、きちんと晒されてもいたわけだし。
が、お話しが転がり出してからは、
そんな初期の疑念などはあっさりと吹っ飛ぶ。
物騒な空気を纏ったカメラやBGMも相俟って
主人公同様、物語り世界の中にあっさりと巻き込まれる。
時制的な疑義はありつつも、全体の流れからすれば瑣事。
十分な緊張感を保ちつつ、最後まで剣呑な雰囲気が途切れることはない。
評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。
一見、エンターテインメントの形式をとりつつも、
奥に流れているのは著者の他の作品にも通底するヒューマニズム。
やはり出自が医者であることが背景に在るのだろうと感じさせる。