封切り十六日目。
席数108の【SCREEN2】は満員の盛況。
ところでこの【SCREEN2】は「MX4D®」用の劇場。
四人分の席が一つのブロックになる特殊な造り。
これが動いて臨場感を出すのだろう。
が、隣席の人が姿勢を直すだけでもガタガタと振動が伝わり
鑑賞環境的にはあまり良くない。
腕置きの場所には風/エアー・ミスト/香り噴出用の穴も空き、
大層な仕掛けだけど
標題作には無用の長物。
入り口脇にも
「本作上映時には座席は動きません」との張り紙が
ちゃんとあったし(笑)
元はと言えば「AERA」連載の〔放談バカリズム〕を読んだのが
本作を観るきっかけ。
041~045回の『夏帆』との対談で相当に濃く触れていたから。
勿論タイミングとしては、パブリシティ的な側面もあるだろうけど。
原作は『バカリズム』がOLになり切って書いていた
架空の日記ブログで、それの映像化。
あくまでもギミックとは知りつつも、
「第36回向田邦子賞」受賞との情報も興味を加速。
話中では些細な日常のよしなしごとに
女子トークが爆裂し、ブラックな会話が交わされる。
特段、山場がある訳でもなく、
時節に応じた変化はありつつも基本淡々と物語は綴られる。
でも全編を通して感じたのは
同じシーンで笑っていても、男性客と女性客とで
そのバックボーンが違ってるんじゃ?との疑念。
男性にとっては単純にギャグ的な面白さも
女性にとっては、あるある的な実体験に近い笑いなんじゃ?
会社内の日常場面では
給湯室・洗面所・更衣室の三点セット、
分けても更衣室の存在が大きかろう。
特段ジェンダー論にハナシを持って行くつもりもないけれど、
この場所の有無が男同士・女同士の関係性に影響してるのかも、と
思ったり。
それにしても一番の驚きはこれが男性の頭から出て来た点。
舞台となる銀行業務の詳細を含め、
一体どれだけの事前リサーチを入念にしたのか。
評価は、☆五点満点で☆☆☆★。
役柄としては「私」としてクレジットされている主役の『バカリズム』だが、
実際は本名の『升野』として演じているのが仕掛けの一つ。
それがラストシーンで生きて来る造りも
なかなかに面白い。