RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ヲタクに恋は難しい@109シネマズ木場 2020年2月10日(月)

封切り四日目。

席数315の【シアター3】の入りは一割ほど。

f:id:jyn1:20200211073136j:plain


漫画の原作宜しく、
先ずはヲタクの在り様をネタにしたエピソードが語られる。

そしてそのパートの〆として、モノローグを歌詞に仕立て
ミュージカルっぽく撮ったシーンが添えられる。

これで一つのシークエンスが終了。


あとはこれを繰り返し、繋いで物語りを紡ぐ。

ちょっとみ前進がなさそうに見えても、
主人公二人の心情と関係性が少しづつ変化して行く。

この機微の表現がなかなかに巧い。


実存のヲタクの人が見るとどう感じるかは判らないが、
少なくともそうでないと思っている自分にとっては
彼等・彼女等の生態の描写は頗る面白い。

好きな対象への過剰な拘り。
独特な形容表現。

監督はそれらの判り易い特徴を上手く切り出し、
研ぎ澄ました上でぽんぽんとテンポ良く提示する。

このあたりの見せ方が、この種の軽いコメディが得意の『福田雄一』の面目躍如。
上映中に笑いが途切れることはない。


アニメやゲームにとどまらず、パロディの引用元も多岐に渡り、
製作者サイドの博覧振りはこちらの知識も試されているよう。

中には〔オペラ座の怪人〕、それも舞台演出からのものまであるんだから。

そしてその種の仕掛けが最後の最後まで続くから気を抜けない。
天空の城ラピュタ〕の有名シーンを頂いたイラストを
さっと忍び込ませるのもいたずらごころか。


また一種、ボーナストラックとでも言うべき
エンドロールで流れる〔残酷な天使のテーゼ〕の上手い翻案楽曲。

作詞:及川眠子、作曲:鷺巣詩郎とはなんて洒落ている。

それが為か全体的に〔新世紀エヴァンゲリオン〕からの借用が
随分と多い印象。


が、本作の一番の見所は
真円に近くまで眼を見開いて
唄って踊って八面六臂の『高畑充希』の活躍ぶり。

彼女をキャスティングしたことで
映画の価値は一段上がった。

もっとも監督にしてみればは〔女子ーズ〕で既に使っているわけだから
薬籠中の起用なのだろう。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


が、全体として見た時には散漫な印象、
後味はあまり良くはない。

それはどうやら先に挙げたミュージカルっぽいシーンの挿入が
足を引っ張ているよう。

余韻を残すための仕掛けとは思われるも、
却って纏りを欠く結果になってはないか。


歌とダンスの場面がそこそこあっても、
これを{ミュージカル映画}とカテゴライズするのにはムリがあろう。

それらはあくまでも「受け」であり、
ヲタクの生活描写こそが「攻め」で主たるものなんだから。