RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

キャッツ@109シネマズ二子玉川 2020年2月11日(火)

封切り十九日目。

席数101の【シアター8】は満員の盛況。

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以前のブログでも書いたけど

jyn1.hatenablog.com

 「劇団四季」の舞台版は
三十年前と昨年で計数回を観ており、あくまでも
それをふまえての今回のレビュー。


オーバーチュアーが流れ
車から放り出され捨てられた
『白猫ヴィクトリア(フランチェスカ・ヘイワード)』を
数匹の猫が囲み回転するところから本編は始まる。

「キャッツ・シアター」では、ここで観客席が回転するのだが
画面上ではそのような表現にしたのね。

以降は『ヴィクトリア』が狂言廻しとなり
ほぼほぼ舞台版と同内容が展開される。

もっとも『グロールタイガー』のパートはないけど。


不気味の谷現象」とは、機械や立像などが
生身の人間に酷似するに連れ、好感度は次第に高まるものの
ある一線を超えると急激に拒否感や嫌悪感が強まる事象を言う。

直近ではロボット工学の分野で頻繁に使われる。


本映画の欧米での評価は散々なもの。
「IMDb」では2.8、「Metascore」は32と
地を這うよう。

評の中身を拙い英語力で読んでみると、要約すれば
「キモイ!」の一言。

日本の批評家やレビュアーでも、
その尻馬に乗ったような言説がかなり跋扈している、
例えば「怪作」と。

おそらくここで、「不気味の谷現象」が働いているかと。


しかし個人的には、本邦ではかなり受け入れられるんじゃ、と
思っていた。

以前から動物を擬人化することに抵抗のないお国柄。
例えば昔々の「なめ猫 」や、直近では
吉岡里帆』の「どんぎつね」。

昔話でも、狸や狐や蛇、あまつさえ鶴まで、
人に姿を変えて、時として交わちゃうんだから。


実際に鑑賞すれば、想定通りでまるっきり違和感なし。

特に『ヴィクトリア』はなどは、元々が子猫のキャラ扱いなのもあり、
カワイイと表現しても良いくらい。


演技と歌と踊りで何れも当代の一流どころを揃えたパフォーマンスは
文句の付け所も無し。

ただ惜しむらくは、カメラを動かし過ぎ、カットも割り過ぎるので、
ダンス時の身体性のダイナミズムを損なう見せ方になっている恨み。
あと、ワイヤーアクションも使い過ぎでしょ。

特に英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルである
フランチェスカ・ヘイワード』の踊りは、
一連のものとしてより堪能させてくれても良かったろうに。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


本編の為に新しく投入された楽曲
〔ビューティフル・ゴースト〕が激しく印象的。

〔メモリー〕へのアンサーソング的な位置づけで、
これがあることにより『グリザベラ』が抱いている深い孤独と人(猫?)恋しさが
ぐっと身近に感じられた。