RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

新解釈・三國志 @TOHOシネマズ日比谷  2020年12月12日(土)

封切り二日目。

席数456の【SCREEN1】はほぼほぼ満席。

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自分にとっての〔三国志〕の原体験は、
吉川英治』によるそれ。

三国志演義〕を底本に、日本人の琴線にふれるような
アレンジが施されている、と。

三国志演義〕にしたって『陳寿』の〔三国志〕を基に
正悪を明瞭に分けた時代の要望を反映した歴史小説なのだから、
時々に於いて風潮に合った形が捻り出されるのは不思議ではない。


本作の予告編を初めて見た時には、
アイディアだなぁと感心した。

主人公の『劉備』だって一人の人間。
書物で描写されるような聖人君子では、間違いなくなかったろう。

我々同様、普通に悩み、恐れ、迷っていたはず。
ましてや原作にも優柔不断な性格に取れる面もややありだし。

なのでそれらを現代風にカリカチュアライズして表現するのだろうと思っていたら、
どっこい本編は遥か上を行く内容。

福田雄一』の面目躍如、もう激しくぶっ飛んでいる。
あくまでも俗っぽく、人間臭く、
周りにもぱらぱらと存在しそうな人物造形。

とりわけ女性美の価値基準が古代中国と現代日本では大きく違うだろうとの論法は、
なるほどと頷きつつも『渡辺直美』の肢体と所作に、もう笑うしかなく。


物語りは「桃園の誓い」を序に、「呂布の裏切り」を中段に挟み、
赤壁の闘い」をメインに展開される。

ただでさえ印象的なエピソードがてんこ盛りの部分だし
登場人物も多勢。

果たして二時間程度の尺で語り切れるのかと気を揉んだいたら、
そこにも仕掛けが一つ。

歴史学の大家が新説を講義するとの体を取り、
時間を省略するとのギミックで、ああ、巧いなあと感心。


演者も何時も乍らの福田組が総出演。

ムロツヨシ』『佐藤二朗』を筆頭に個人芸を存分に披露するお馴染みの流れ。

中にはカメオ出演に近いくらいの出番で思わぬ女優さんのキャスティングもありで
観客を驚かせ・喜ばせるシーンもしっかり用意され。

CGも使い、スケールは大きく、映画っぽい造りには見せているものの、
本質と言えば
仲間内での楽屋落ち披露の延長に近い表現に終始し
爆笑シーンが過少なのも事実で。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


今日から俺は‼︎劇場版〕の余勢を駆っての一本も
銀魂〕ほどのパワーには欠け〔銀魂2 掟は破るためにこそある〕に近い出来の一本。

監督の才覚なら、もっと面白く出来たんじゃ?と
思わぬでもないが、肩入れし過ぎかな。