RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

サヨナラまでの30分@TOHOシネマズ川崎 2020年1月25日(土)

封切り二日目。
席数147の【SCREEN2】の入りは五割ほど。

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成仏しきれない霊が、ある手順を踏んだ時に
特定の人に憑依する。

された側の意識は、同じ肉体の中で混在したり、
外に押し出されたり。何れにしても葛藤は起こる。

今では相当に手垢の付いた設定。
なのでどのように付随する物語りをデザインをするかが勝負のしどころ。


本作では故人が遺したカセットテープが入ったポータブルプレイヤーの
再生ボタンを押すことでその状態が現出する。

我々の年代には懐かしいガジェットも、
今の若い世代には逆に新鮮かも。

そのカセットテープ自体も物語の鍵となり
あとあと重要な小道具として幾つもの機能を果たすのだから
ここでのシノプシスは相当に練られている。

憑いていられる時間がテープの尺の30分のシバリなどは
その最たる例。


それと相まって、監督と編集の手腕も相当のもの。

冒頭のほんの数分、デジタル技術も使ったワンカットで
片方の主人公がなぜ亡くなったかをはじめ
現況をさらりと見せ切る。

加えて原作の功と思れるが、
細かい伏線をぱらぱらと散りばめ、
ラストのシークエンスに向けてきちっと収斂。

何れも、巧いなぁと思わず(心の中で)唸る。


開放的で周囲を強引に巻き込み突き進む『アキ(新田真剣佑)』と
閉鎖的で人とは距離を意図的に置いている『颯太(北村匠海)』。

前者は既に亡くなっており、後者は憑依される側。
今まで全く関係の無かった二人が交わることで
『颯太』の方が生き方を大きく変えて行く。

結末は社会や人生に対してかなり楽観的な向き合いだし、
周囲の大人は理解の広い好人物ばかりで、相当にファンタジー色が漂うも
未来に対してどこまでもポジティブな爽やかな若人達を見るのは
けして悪い気分ではない。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。

それにしても、
牧瀬里穂』が、お母さん役で出て来たのにはびっくりした。

もうそんな役柄がおかしくない年齢なんだねぇ。

自分も歳を取るわけだ。