RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ビール・ストリートの恋人たち@TOHOシネマズシャンテ 2019年3月1日(金)

封切り八日目。

席数190の【シャンテ-3】は満員。


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「ビール・ストリート」は「テネシー州メンフィス」に在る通りの名。
ジャズ発祥の地とも冒頭紹介される。

しかし本作の舞台はニューヨーク。
加えて年代も明確には示されない。

ただ街の様子や服装、風俗から勘案すると
1970年代頃か。

もっとも五十年前でも今でも
合衆国で黒人が置かれている環境は
あまり変わっていないような気も。

おそらく時代を暈して描くことに
その点を強調する意図があるのだろう。


無実の罪で収監されている『フォニー』を刑務所から救い出すのに
彼の子供を身籠っている『ティシュ』とその家族は奔走する。

そのために弁護士を雇いはするものの、
最初から有罪にすることを前提に警察や検察の側が結託しているため、
コトは簡単には進まない。


イマイマ直面している苦難と、数ヶ月前、
幸せな恋人同士であった頃を交互に描き
物語りは静かに進行する。

幾つかあった諍いですら、
今となっては愛おしい。

また平行して、黒人に対する差別のエピソードも
重ねて盛り込まれる。

あたかもそれらは普通に身近に存在する
風景のように。


そして異常な日々こそが
然も日常の一コマであるかの様に、
ぽ~んと放り出される如くお話は終焉を迎える。

あまりにもさり気無さ過ぎて呆気に取られるほどだけど
それこそが本作の眼目であると思われる。

おそらくこういった事象は主人公の二人だけに起きた特別なコトではなく、
ハーレムに住む人達には、
いつ我が身に降り掛かって来るのか分からない天災のようなものなのだろう。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


ブラッド・ピット』が制作総指揮として
エンドロールにクレジットされていることからも判る様に
本作はやはりアメリカの良心を問う一本。

それでも夜は明ける〕などと同様にね。