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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

シング・ストリート 未来へのうた@チネチッタ川崎 2016年7月23日(土)

封切り三週目に突入。

席数129の【CINE 2】は満員の盛況。


客層は中高年が多く、
青春モノにしては珍しいけど、
成る程、本編を観て納得。

一貫して彩っているのは
80年代前半の洋楽の数々。

これは自分達の世代には懐かしいよね。


ちなみに『PG12』に指定されているけれど、
具体的にどの場面がそれにあたるのか、
さっぱり解からなかった。


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映画に通底する空気は
実はこれとあまり変わっていない。

三十年を経てもなお、地域を覆う閉塞感。
そして80年代ならではの不況。

この二つの要素が、家族のみならず
地域の関係性をも切り裂いている。


先の作品での憧れはアメリカだったが、
本作ではそれがイギリス本土になっている。

象徴するのが
真っ先に語られる『デュラン・デュラン』。
ニューロマンティックス」や「MTV」の嚆矢であり、主人公の少年たちの
まさに目標として描かれる。


最初は意中の少女にアピールするために始めた即席のバンド活動が
友人達と曲を創るコトの面白さに目覚め、
それ自体が目的と化し、
次第にイマイマの変化の無い環境を打破するための手段として昇華する。

その一連の過程が、
主人公の少年の家庭の崩壊、
父親の失業の為に転校させられた
やはり崩壊している学校での日々の生活と並行して
グラフィティ的に綴られる。


そして青春ものにお約束の「プロム」の通過儀礼を経て
少年は新たな選択をする。

その結果がどうなるかは判らないけれど、
その決断に対して
観客は快哉を叫ばずにはおられない。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


監督の『ジョン・カーニー』が制作のみならず
劇中歌も書き、演奏までこなしている。

作品への入れ込みようも知れようかと言うもの。