RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ムーンライト@TOHOシネマズ 川崎 2017年4月2日(日)

封切り三日目。

アカデミー賞」の「作品賞」「脚色賞」を受賞。
それもあってか、
席数142の【SCREEN1】の入りは満員の盛況。

この手の作品の常として
客層はかなり老齢に振れている。


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全体は三つのチャプターからなり、
主人公である『シャロン』の
少年期/青年期/青年期の終りを
夫々描く。


製作総指揮に『ブラッド・ピット』がクレジットさていることからも、
本作は〔それでも夜は明ける〕に連なる
アメリカに於ける黒人の、
加えて性的マイノリティの抱える問題をも
真正面から扱った作品と言うことが理解される。

もっとも、本編での主要な登場人物は
ほぼほぼ黒人なので
彼自身が良心の体現として出演する幕はないのだけれど。


脚に少しの障害があり、おまけに
日頃の言動故に、同級生から差別を受ける主人公『シャロン』の描写は
観ていて痛々しくもある。

また、彼の国での黒人が置かれている境遇は悲惨さに満ち満ちており
シャロン』に何くれとなく目を掛けるヤクの売人は
実は彼の母にも麻薬を売っており、
その為に母親からネグレクトされてしまう圧倒的な矛盾。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


観終わって初めて判るのだが、
そう言った社会的な問題提起の側面よりも、
実は本作の神髄は純愛映画だと言うコト。

LGBT故の生き難さは
イマイマでも変わらないし、
過去に於いてもそれは同様だろう。

それを心の奥に仕舞い込んだまま
十年以上の歳月を過ごしたことへの
讃歌を歌い上げるのだが、
それに対する「アカデミー賞」の栄誉は
少々行き過ぎな気がする。

やはり昨年の一件への反動ではないだろうか。