RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

検察側の罪人@109シネマズ川崎 2018年9月2日(日)

封切り十日目。

席数172の【シアター4】はほぼほぼ満員。


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元々の原作がそうなのか、はたまた
映画に変換する過程でこうなってしまったのか。

なんとも中途半端な仕上がりで
監督の『原田眞人』いったいどうしちゃったの?
〔突入せよ! あさま山荘事件〕〔クライマーズ・ハイ〕〔日本のいちばん長い日〕を撮った
同一人物とはとっても思えない出来なんですけど。


滑り出しは上々。

東京地検の検事『最上(木村拓哉)』が
大田区蒲田で老夫婦が刺殺された容疑者リストの中に
『松倉』の名前を見出したのがコトの発端。

『松倉』は23年前に少女殺人事件の容疑者とされながら
証拠不十分で起訴を免れている。

当の少女と『最上』には交流があり
『松倉』を真犯人と目している彼は
この機会に司法の力で断罪しようとする。


おお、この後どうなるんだろうと
ワクワク感が止まらない。

ところが中途から
ど~も様子がおかしくなる。

ヒトコトで言って、訳が分からない作品と化してしまう。


全ての登場人物の行動に一貫性が無いことがその主要因。

それは主人公である『最上』に顕著。

司法の力で引導を渡そうと思っていた相手に
それが叶わないと見た後に取った行動は常軌を逸している。

「検事の作文」非難なんて、どの口がゆ~か、と
唖然とする。

まぁタイトルから、何かをやらかすのは明らかなのだが、
よりによってその手法はないよなぁ。

それでいて最後はあっけらかんと終わらせてしまうのだから
開いた口が塞がらない。


唯一芯がブレてないと思っていた『最上』の部下である『沖野(二宮和也)』ですら
中盤~後半部で意味不明な行動を取る。

立会事務官の『橘(吉高由里子)』にしても同様だろう。
そんな目的のために貴重な数年を棒に振る精神構造は
根本的に理解に苦しむ。

『最上』の走狗として動く『諏訪部(松重豊)』に至っては
何がそのモチベーションなっているのかすら曖昧。


オマケに視点を絞っておけば良いものを
『最上』の家族の問題や、彼の親友の疑獄の暴露話しなどを持ち出すものだから
余計に意味不明なことになってしまう。

いや判りますよ、同一人物の中に善と悪が混在することを示すための表現であることは。

でもね、一本の作品として見た時に、あまりにも枝葉を広げ過ぎ。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


途中から作品への感情移入が難しくなって行き、一歩引いて観る姿勢になってしまった。

そしてラストシーンが更に不可解。
対峙した二人の胸に去来することは想像すらできない。