RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

シェイプ・オブ・ウォーター@TOHOシネマズ上野 2018年3月14日(水)

封切り二週目。

席数235の【SCREEN7】の入りは三割ほど。


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同じ水棲の半人生物でも
それが女性であれば〔スプラッシュ〕の『ダリル・ハンナ』の様な超美形の人魚になるのに
男性の場合はなんで〔大アマゾンの半魚人〕みたいになっちゃうのよ?!と
予告編を見た限りでは勝手に憤っていたんだが
監督のインタビュー等によればまさにその通り
「半魚人」の復権(?)を狙った意図的なものだと言うコトが良く判る。


冷戦下のアメリカ、「航空宇宙研究センター」で清掃員として働いている
『イライザ(サリー・ホーキンス)』は孤児院に居た頃のトラウマが原因で発話ができない。
加えて首の両側には、その時の体罰によると思われる傷跡がある(これが鰓の様に見えることには
注意が必要)。

或る日大型のタンクが運び込まれ、その中には「アマゾンの半魚人」が格納されていた。
警備主任には敵意を剥き出しも、『イライザ』には心を開く「半魚人」。

彼女は一目でその生き物に好意を抱き、一人と一匹は
次第に意思を通じあえるようになる。

そんな折、「半魚人」の躰の構造を知るための生体解剖が計画されていることを知り
彼女は「彼」を救い出すために動き出す。


と、此処までの流れを見たところで、
更にその後の展開を見ても、やはり本作は先に挙げた二本の映画の
ハイブリッドだと思う。

特に〔スプラッシュ〕とは相似だよなぁ、と強く思い至る。

丁度、対になる関係と言っても良いだろう。


ただ独自の仕掛けも勿論有って、
「人魚姫」は海から出ることで言葉を失うが
本作の主人公は最初から口がきけず
「半魚人」がじゃべれないのは当たり前。

それを手話でコミユニケーションをはかるなどは
なかなか新しい。


『イライザ』との名前もユニークだし
彼女を取り巻く人々が何れも
当時は特に差別される側~黒人とかゲイとか~なのも
(差別を)する側への意趣返しの側面もあるかもしれない。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


場面の多くで 水 が存在するせいか、
画面にはしっとりとした空気が溢れている。

わけても一人と一匹が情愛を交わすシーンでは
それも言わずもがな。