RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

今夜、ロマンス劇場で@TOHOシネマズ六本木ヒルズ 2018年2月14日(水)

予告編を見た時には、なんだ
ローマの休日〕×〔カイロの紫のバラ〕じゃん、って・・・・。

なので『綾瀬はるか』を観たいのはやまやまなのに
踏ん切りが付かず、しかし世評がどうにも高くて
封切り五日目の今日、腰を上げた訳だ。


席数157の【SCREEN1】の入りは八割ほど。

で、客層はほぼほぼカップルで
考えてみれば今日って(おぢさんには関係の無い)バレンタインじゃん!

まさにうってつけの一本ってことか。


イメージ 1



舞台は昭和三十年代の日本。
映画産業が斜陽化の兆しを見せつつある頃。
しかしまだ「スターシステム」は生きており
劇中でもそれをコミカルに表現するシーンが出て来る。


(映画の中から)王女様が飛び出し
すったもんだが起きるのは、先に挙げた作品と同様。

ここで観客が注意しなければいけないのは
王女様役の『美雪(綾瀬はるか)』が「第四の壁」の存在を最初から意識しているコト。

「繰り返し繰り返し同じことを演じる」とか「(スクリーンの)向こう側から常に見ていた」
等の科白からもそれは明らか。


そしてまた、役者として飛び出したのではなく、
映画中の人物として出て来たのも特徴的。

なので彼女は、あくまでも王女様然として振る舞う。


また、スクリーンから現実の世界に出た後も
彼女の見掛けが白黒のままなのも仕掛けの一つ。

これが幾つものエピソードに繋がって行く。


彼女が巻き起こす騒動の後に、恋愛映画になって行くのは
ほぼほぼ想定通り。

抱える秘密とやらも早々に明らかにされるので
以降はあまり期待もせずに漫然と観ていると、
その後に繰り広げられるのは、まさに驚愕の展開。

突如として純愛映画に変換して行く。

あまりのコトに呆気にとられながらも、
この一連の描写については会場内に嗚咽を巻き起こす。

しかし後で反芻すれば、
伏線はちゃんと張られており、心の片隅に引っ掛かる科白は
確かにあったのだ。気付かないものだなぁ。

それにしても、こんなに純粋な愛のカタチの表現が
嘗て有っただろうか。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


撮影所や映画館でのシーンが大半を占めていることからも判る様に
本作は映画への愛にも満ち満ちている。

昔の映画からの引用も多々で、主人公の名前は言うに及ばず、
例えば〔また逢う日まで〕のガラス越しのキスシーンなどは
間違いないところ。


それにしても、『マキノ健司(坂口健太郎)』に横恋慕する
『塔子』を演じた『本田翼』がどうにもいじらしくカワイイ。

自分だったら、間違いなくそっちを選ぶぞ。