RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

女神の見えざる手@TOHOシネマズシャンテ 2017年11月1日(水)

封切り二週目。

席数201の【CHANTER-2】の入りは九割ほどと盛況。

いくらファーストデイとはいっても
昼下がりの上映回でこの混雑は凄いかも。

夜の回に至っては満員札止めだし。


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今回も例によって邦題の付け方が良くない。
原題は〔MISS SLOANE〕。

アメリカ合衆国でのロビー活動のセンセーションさを描いているのは確かで
ハラハラドキドキが止まらないんだけど、
一連のエピソードを通して主人公の人となりを描くことにも眼目がある訳だから
その辺をもうちょっと意識して貰いたかった。


主人公の『エリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)』が
聴聞会で審問を受けているのが冒頭のシーン。

腕っこきのロビイストの彼女が
何故そんな立場に追い込まれているのかは追々判って来る。


それにしても、彼の国でのロビー活動の実態はホントに理解し辛い
(司法制度についても同様だけど)。

献金も、自身の有利にコトを進めるための手段であるのに
そのやり方によって方や合法、裏金と見做されれば非合法で罪に問われる。

その境界の部分も含め我々にはほとんど判らない。


なのでここでは深く考えることをせずに、
口をポカンと空け、速射砲の様に繰り出される会話を
耳の右から左に流しながら、物語の推移だけを追うのがベストの鑑賞法。

それだけでも、本作の緊迫感を味わうには十分。


どのようにして相手を出し抜き法案を通すか、或いは通させないかの攻防は、
常に二手三手の先を読み、対する罠を周到に仕掛ける。

不利な情勢になったかと思えば、それは逆転させるための布石であり、
最後に笑うのは一体誰なのか予断を許さない。


しかし各シーンを丁寧に解釈して行けば、最後のオチの予測は
予め予見できる。

130分を超える尺ながら、監督は無駄なシーンを作らず、
全てが意味のある場面の几帳面な編集も冴える。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


そして全てのエピソードを観終えた時に、
二転三転するストーリーへの興奮と共に
勝つ為には身内すら出し抜く徹底的な合理さの影に
圧倒的な孤独さや優しささえ潜む主人公の本質が明らかになる。

観客は強靭さ以外でも、彼女に対してシンパシーを持つこと請け合い。