RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

search/サーチ@TOHOシネマズ日比谷 2018年10月27日(土)

封切り二日目。

席数456の【SCREEN1】は満員の盛況。

標題館では二番目の大箱が札止めになるのはたいしたものだけど
音響も更に良い「premium theatre」での上映だったのね。


イメージ 1



1999年〔ブレア・ウィッチ・プロジェクト〕の擬似ドキュメンタリーと、メディアミックス。
2015年〔ハードコア〕の全編一人称視点。

そして本作は、最初から最後まで(ほぼ)PCの画面の中だけで語られるイノベーティブな試み。
最初ハナシを聞いた時には「そんなの無理なんじゃね?」と正直思ったものの、
観終わって見れば「すげ~!ホントにやりやがった!!」と、その技巧の凄さに打ちのめされている。


もっともプロットそのものはありがち。

妻を亡くして二年。
自身としてはその後も上手く暮らして来たと信じていた娘が突然失踪。

最初は自ら解決しようとしても、おやなんとしたことだろう、
彼女の交友関係すら認知していないことに愕然とする。

探しあぐねて警察を頼ることから本筋は始まる。

まぁ本邦でも〔渇き。〕と言う2014年の類似作品があって、
娘のことを(息子もたぶん同様)さっぱり判っていないのは
万国共通、男親の宿命みたいなものなのかな。


しかし本作での父親は、持ち前のITのスキル(?)を駆使し
SNSの混沌の中から娘の情報を必死に掬い上げて行く。

警察からもたらされるもの、そして彼自身が発見した新たな事実が明らかになる度に
事態は異なる側面を見せ二転三転。

素晴らしく練り上げられたサスペンスミステリーなのだが、
此処で実は先に挙げた「PCの中だけで収斂する」とのシバリが
作品を窮屈なものではなく可能性に満ちたものに広げている。


手がかりは九割方デジタル情報による、音声・画像・動画なわけで
改組されていない前提で何回でも参照が可能、
拡大や比較そして検索もお手の物で、これが事件の真相に迫る
強力な要素。

社会的な背景、または技術的な革新をベースにした
「アームチェア・ディテクティブ」のカタチ自体は
過去小説でも既出の記憶はあるけれど、
一つの画面から動かず終始するとの発想はやはり斬新だし
今後もおそらく類似の表現が頻出する嚆矢となるだろう。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


僅か百分ほどの尺にもかかわらず、詰め込まれている情報は濃密で、
スピード感は半端ではない。

そして、あらゆるコトがネット上で中継され、地方局さえ視聴率稼ぎに奔走し
ドキュメンターと言う名の実際はセンセーショナリズムが跋扈する
如何にもアメリカらしい世相を反映した一本とも思った。