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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

しりあがり寿の現代美術 回・転・展@練馬区立美術館 2016年7月29日(土)

一般の入場料は800円だが
招待券を頂いた。

そしておそらく、そうでなければ
来なかったであろう展覧会。


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ただ自分にとって正直意外だったのは
場内はそこそこの来場者で賑わっていることで
しかも女性の客が多い。

こういったファン層なのだなと
認識を新たにするとともに、
そ~言えば、この人の展覧会、
各地でかなりの回数開催されていたことを思い出す。

人気物件な訳だ。


しりあがり寿』の作品を初めて見たのは
「Hanako」の〔O.SHI.GO.TO〕だった。

八十年代も終り頃か。

特徴ありまくりのタッチに
職場でアリそうなネタを盛り込みながら
時にシュール、また時にはオチになってない描写に
首を傾げたりしながら、それなりに楽しんでいたことを記憶している。


その次が2002年に始まり、現在でも長期連載が継続している
地球防衛家のヒトビト〕。

最初の頃は必ず目を通していたのに
何時の頃からだろう
ぷっつりと読むのを止めてしまった。


真夜中の弥次さん喜多さん〕も
良くない意味で記憶に残る一作。

自分が観たのは映画だけれど
クドカン』の暴走によって、
原作とは乖離したテイストに仕上がったんじゃないか。



翻って本展、一階は彼の過去の画業を回顧するもの。

テーマ設定にもよるんだろうけど、
元々本歌の存在する、一種パロディに近い作品が並んでおり、
モチーフは独自なのに、
よくまぁ、これだけ借景できたねと、その方面での才能にも関心する。


で、二階がいよいよ主題である「回転」

多くのモノが回転台の上に乗せられ
くるくると回っている中で、
ひときわ刺激的なキャプションが付けられた〔ヤカン〕が鎮座し
回転-静止を繰り返している。

曰く、回転することで元々の用からは離れ
芸術化する、と。

デュシャン』の〔泉〕を彷彿させるけど
まぁ確かにそうかも。

日常の場面で「ヤカン」が回転している場面なんか
お目にかからないし。

尤も、『シュワルツェネッガー』が「ヤカン」を持つと
我々はまた違った意味合いを、そこに見い出すんだが。


本展ではありとあらゆるモノが回っている。

中には、あらこんな処に在るものも、と
気付くケースもあるし、
普通では静止しているモノが回転していることで
違った意味の可笑しさを持ってしまうケースもある。

都度都度笑いながら歩を進め、
かなり脱力しながらも
そこそこの満足感を得てしまった。