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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

スポットライト 世紀のスクープ@TOHOシネマズ新宿 2016年4月28日(木)

封切り二週目。

席数122の【SCREEN11】の入りは八割ほど。


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目の前には常に二つの路がある。

先のコトは考えずに今のやり方を粛々と進めるか、それとも
大きな変革を選択するか。


この物語の舞台ボストンでは多くの人が前者を選んでいた。それは
言論の自由を標榜する「ボストングローブ」紙とて同様。

尤も、自分の身に当て嵌めて見ても、やっぱり
波風立たない方に進んでしまうだろう。

だがそこに、新任の編集局長が赴任して来た事から
(街にとっての)大きな不協和音が起きる。

ただ傍から見れば、彼は至極真っ当なことを主張しているに過ぎない。
聖職者だからと言って、全てが免罪されて当然なのか、と。

一人一人の穏当な判断が積もりに積もって、
常識からは懸け離れた事態になってしまってはいないかと。


頗る地味な映画だ。
目を見張るほどの大きな山場が用意されているわけでもない。

地道な取材の現場が坦々と描かれる。
でも、実際はこの通りなんだろうね、多分。

しかしそれでも、この緊迫感は並大抵のことではない。

私生活を犠牲にしてまで取材に邁進する記者達の熱い姿勢に
ぐいぐいと引き込まれて行ってしまう。
二時間強の尺を短く感じてしまうほど。


そしてもう一つ驚かされる
海外での宗教の隠然たる影響力。

地域のコミュニティだけに留まらず、学校やスポーツの分野、
司法立法行政、果ては財界までも
ぐるっと括ってしまっている。

それはマスコミにまで波及し、
メディアの側も最初のうち、多くは腰が引けている描写もあったしな。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


例によってこれも事実を基にした物語であることが
最初に提示される。

それだけの力を持つ宗教の世界に鋭く切り込んで行く。
出版物ではありそうだけど、映画化までとは
アメリカってなんて国なんだと改めて感心する。


また、新聞記者達の一人一人を
取り立てて英雄らしく描いてないコトにも好感が持てる。