RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

海難1890@チネチッタ川崎 2015年12月12日(土)

封切り八日目。

席数107の【CINE 1】の入りは九割ほど。


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冒頭、最近なにかと話題のトルコの『エルドアン』大統領が
ビデオメッセージで一席ぶつのには驚いた。

純粋なエンターティンメントである筈なのに、
この様に、一国の中枢を担う人物が登場するのは、
正直好きではないし、胡散臭いと思う。


そう言えば、「イラン・イラク戦争」の折のトルコによる邦人救出
美談として伝えられたことを薄っすらと記憶している。

その割には、日本が救援機を派遣できなかったことが、
大きく問題化したかと言えば、そちらの方の覚えはとんとない。

本作ではその点についても、ちょっとだけ言及はしているものの、
印象としてはかなり軽く、
あくまでもトルコの人々の義侠心を見せるためのスパイス程度の扱いになっている。

まぁ、時の首相も関与しての制作だから、
そう強いコトは言えまいよ。


これらを代表例として、本来なら強く描くべきところを軽く、
もっと省略してもよいところを厚く描く姿勢は、
全編を通して通底している。

例えば「エルトゥールル号」が難破するシークエンスのモンタジューなどは
あまり意味のあるモノとは思えない。

或いは映像だけ見れば十二分に伝わるのに、
殊更「真心」なんぞと何度も口に出すものだから、
却って薄っぺらさを感じてしまう。


〔飛べ!ダコタ〕もそうだったが、
人々の純朴さが残っている
昔の善き時代の表現だけれど、
果たして実際はどうだったか。

田舎であるほど、他所の人間は受け付けないし、
それなりの葛藤もある筈なのに、
その描写もほんのちょっとだしなぁ。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


勿論、思わずうるうるとする泣かせ処は、
これでもか、くらいに用意されている。
いや、全編がそれで構成されていると言っても過言ではない。

でもね、やはり緩急は大事。
あまりにもこれ見よがしにやられると、
ちょっと鼻白んじゃうんだな。