RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

忍びの国@チネチッタ川崎 2017年7月1日(土)

本日初日。
席数244の【CINE6】は九割方埋まっている。

驚いたのは、たぶん『大野』クンのファンと思われるお母さんが
補助シートが必要な小さなお子を連れて複数来場していたことで
年齢制限は付いてはいないものの、大丈夫なのかと心配になってしまった。


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「織田」軍は二度に渡って「伊賀」に侵攻し、
初回こそ敗退したものの二回目は数万の大軍でこれを攻略、
その後徹底的な殲滅戦を行っている。

じゃあそれで「伊賀」が滅びたかと言えば然にあらず、
直ぐ後の「神君伊賀越え」でも明らかなように
しぶとく生き残り、後の権力者に寄り添っている。


これらは史実。

で、本作では、そういった「伊賀」の人々のモチベーションが
全ては銭にあったとデフォルメ。
金の為であれば寄生木さえ簡単に変えるし
同族であっても人を殺めることを厭わない集団として
お話を展開している。

でもまぁ考えて見れば、それは現代でも同じこと、
守銭奴の呼称が生き残っていることからも明らかだし、
お金の為に殺・奪をする人は引きも切らない。


歴史上も「伊賀」が攻められる際には内通者が有ったらしく、
ただそれは「利」によるものか「義」によるものかは判らない。

が本編では、それは「理」や「情」に有ったとして、
相反する概念の相克を
しかし外連味たっぷりのエンターティンメント化して秀逸。


『大野』クン演じる『無門』は、
彼の行く手には入れぬ門は無しとの手練れさから付いた二つ名。

あの丸っこい愛嬌のある顔で、先に挙げた非情な行為をするものだから
そのギャップは凄まじく、嵌り役のアンチヒーロー像が体現されている。

そして彼の連れ合い(?)である『お国(石原さとみ)』にしても
元は良家の子女であったものが、
今では愛情を計る基準さえお金と言う変貌ぶり。
それでも実はツンデレであることもしっかり描かれ
変らずの可愛さ倍増で鑑賞者の目も楽しませてくれる。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


最後の方で、妙に説教臭くなるシーンが幾つかあり、
それらには正直、辟易。

単純なエンタメと取るか、その中から寓意を読み取るかは
観客の側の選択に任せ、制作者はこれ見よがしに「イイタイコト」を
前面に押し立てない方が良いのではないか。