RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

母と暮せば@109シネマズ川崎 2015年12月12日(土)

本日初日。

席数246の【シアター1】の入りは三割ほど。

まぁ、この後、各所で舞台挨拶が予定されているようだから
思いのある人は、そちらに行くんだろう。


内容が内容なので客層は高齢者が多いだろうとふんでいたら、
小学生くらいの子供を連れたお母さんを
ちらほらと見かける。

で、退屈なんだろうね、子供にとっては。
中途で携帯を何度も見る。
その度に光が漏れて、気になって。
事前告知で、ちゃんと言われてるんだから守ろうよ、
お母さんもヒトコト言おうよと思うけど、
無反応。

ただ、鼾をかいて寝ているオジサンも居たから、
その抑揚の無さに飽きるのは、
しょうがないかと思ったのも事実。


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自分の知り合いで、早くに旦那さんをなくした女性がいる。
突然の死だったものだから、彼女は「幽霊でも逢いたい」と
常々言っている。

でも、逢えたとのハナシは聞かないから、
そうそう、幽霊は頻出するものでもないのだろう。


しかし、映画や小説となると、コトは別。
勿論、そうでないとストーリーが進まない訳だけど、
怨念を残していれば、怪談やホラーだし、
情念であれば本作の様な流れになる。

ただ、両方を兼ね備えた〔異人たちとの夏〕のような佳作もあるけどな。


で、本作、
長崎の原爆で三年前に亡くなったハズの息子『浩二(二宮和也)』が
母親『伸子(吉永小百合)』の前に突然現れる。

戸惑いながらも、断ち切られた時間が再び動き出したようで、
母親の心は浮き立つ。

しかし、息子が話す内容は、基本、過去のコトに終始し、
そこだけ時間が停まっているようだ。

もっとも、その内容をキチンと聞けば
原作者の戦争批判が盛り込まれていることは明らか。


一方、息子の恋人であった『町子(黒木華)』がいる。
彼女も『浩二』への想いを断ち切れず、前に進めずにいる。
また、原爆から生き延びたことに、後ろめたささえ抱えている。

そして幽霊となった『浩二』が現われたことで、
後に残された二人の女性の時が動き出す。


井上ひさし』脚本による
広島を舞台にした〔父とくらせば〕と、
表裏一対になる、或いは線対称となる本作は、
新しい時代へと踏み出す一歩を描いているにもかかわらず、
晴れやかな気分には、どうにもなれない。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


それにしても、
ここでの『二宮』くんは随分と良い。
流石、『イーストウッド』が目に留めただけある。

そして『吉永小百合』。
北のカナリアたち〕ではどうかと思ったが、
本作にはぴたりと嵌っている。