RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

エール!@TOHOシネマズ錦糸町 2015年11月1日(日)

封切り二日目。

席数115の【SCREEN8】は九割方埋まっている。


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両親・弟を含めて自分以外の家族が
皆聾者である少女が、田舎の音楽教師に
その天性の声を見出され、
パリのラジオ局が主催するコンテストへの出場を勧められる。

ただ、家族に後ろ髪を引かれる彼女は・・・・、
と言った、シンデレラストーリーの序章にあたるのが
お話しの骨格。

が、そのプロットを装飾する
様々な仕掛けが本作の見所。


冒頭から、それは
遺憾なく発揮される。

朝食の用意をする母親が立てる音は、
我々にとって耳障りに感じる。

しかし、彼女にはごく日常のことであり、
ましてや自分を除く他の家族には聞こえてさえいない。

それを観客に十分に周知させる印象的なシーン。


本来であればどんなに大声を出しても
自分以外の家族には聞こえていないはずなのに、
尚更それが自身が歌うことの抑圧になっていたことに気付かされる一連の流れも上出来。


そして、ある重要な場面では、意図的に主人公の歌声を消してしまう。
BECK〕でも類似の描写があるけど、意味合いは相当異なる。

成る程、耳が聞こえない人にとっては、こんな風に聞こえていたのか
(変な表現だが)と、認識を新たにする。
そして、この場面が最後のシークエンスの重要な伏線として効果的。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


そして真骨頂はコンテストの場面。

そう来るだろう、と
判ってはいても、いざ、その場を目の当たりにすれば、
やっぱり泣かされてしまう。

『ポーラ』がなぜその曲を選んだのか、
それは歌詞をみれば一目瞭然。
まさに、選曲の情趣とは、言いえて妙。