RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

青春18×2 君へと続く道@TOHOシネマズ日比谷 2024年5月4日(土)

封切り二日目。

席数249の【SCREEN9】は九割ほどの席が埋まる盛況。

 

 

自身で立ち上げたゲーム制作会社を
社内の政変で乗っ取られた『ジミー(シュー・グァンハン)』が、
十八年前、十八歳の時にほんの束の間ふれ合った女性を思い出し、
彼女に会うために日本を訪れる。

その女性が『アミ(清原果耶)』。

バックパッカーとして台湾に来たものの、
財布を無くしてしまい、
たまたま日本の地名を冠したカラオケ店を見つけて働き出す。

そこでアルバイトをしていた『ジミー』は
年上の女性に淡い恋心を抱く。

しかし、店を繁盛に導いた彼女は
突然帰国してしまい・・・・、との過去。


二つの旅が交錯する{ロードムービー}。

『アミ』の日本から台湾へ、
『ジミー』の台湾から日本への。

十八年前の楽しい、しかしもやもやとした感情が渦巻く台湾での日々と、
十八年後の今、彼女の元へ向かうために訪れた日本での旅の様子が
交互に描かれる。


しかし、彼の日本での航跡はどうにも不可解。

一直線に彼女の元を目指せば良さそうも、
聖地巡礼をしてみたり、鉄路の大回りをしてみたりと、
ゴールに向かうことに逡巡をしているよう。

が、旅先で出会う何人かとの交わりの中で過去を思い出し、
背中を推され
彼女に会うための心のけじめを付けて行く。


とは言え、その迷いの理由は繰り返し暗喩されるので
物語りの当初から想定は付く。

十八年前の彼女の言葉。
二人で観に行った『岩井俊二』監督の〔Love Letter(1995年)〕の
ストーリーを思い起こせば。


ほんの短い間の触れ合いが、彼のその後の十八年を大きく動かした。

幼い約束を果たしてのち彼女に会うため、
必死に働いた末の悲しい結末の{ラブストーリー}でもある。

再会は青春時代の
遅すぎた終わりの始まりとなり、
『ジミー』は『アミ』により、二度目の生きる目標を見出す。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


『清原果耶』が、ほぼ実年齢のヒロインを演じ、
等身大の人物になり切った時の彼女の強さをいかんなく発揮。

それを堪能するためだけでも、
観る価値は十分にあり。