RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

新感染半島 ファイナル・ステージ@109シネマズ川崎  2021年1月1日(金)

本日初日。

席数127の【シアター2】の入りは七割ほど。

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新感染 ファイナル・エクスプレス(2017)〕は衝撃的な一本だった。
「WOWOW」で見たのだが、劇場で鑑賞できなかったことを後悔したほど。

逃げ場のない高速列車の中でパンデミックが発生するとのアイディアが先ず斬新。
そしてゾンビの習性を把握するまでの過程が秀逸。
絡む複数の人間模様の描写と哀切極まるラストシーンまで
間然する所がない疾走感。


標題作はその四年後のオハナシ。

朝鮮半島のうち韓国部分は完全に封鎖され
外部との接触は一切閉ざされているとの設定が
ニュースショー形式で冒頭語られ。

また他国に住む旧韓国出身者達がいわれなき差別を受けるエピソードは
イマイマの状況を予見してたの?と思えるほど示唆的。


一方で当該地域内には数多の富が残されたままになっており、
危険を冒しそれを持ち帰れば、その後の生活の安楽は保証されるとの噂もあり。

その中でも信憑性の高い情報を得た香港マフィアが
今は難民となっている旧半島出身者を寄せ集め
奪取に向かわせる。


その一人『ジョンソク』が本作の主人公。
旧軍人の彼はパンデミックから脱出の際、
二つのトラウマを負う。

それが、後々のストーリーにどう取り込まれて行くのかも見所の一つ。


「野良犬」と呼称される荒廃した土地で単独で生き抜く人々。
それに集団で横暴を尽くす民兵組織「631部隊」の存在が絡まり、
数多のゾンビが跋扈する世紀末とも取れる中で、
目的の財に纏わる奪還劇が繰り広げられる。

この手の{終末もの}にありがちな多くの矛盾は抱えながらも、
カーアクションのスピード感と
ゾンビ達をばっさばっさと跳ね飛ばして行く段の物量感は相当のもの。


が、全体として見た時には、よくある{ゾンビもの}の範疇に納まってしまう。

『ジョンソク』の心の傷の緩解や、
関わって来る母娘の情愛やサクリファイスにも新奇さは見られず。

既視感がありまくるやや残念な出来。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


要は前作の舞台を引き継いだだけの全くの別物。

多くを借景しているので、
説明の手間や環境設定に当たる序章を大きく省けるメリット等
制作サイドの都合がぷんぷんと匂って来る。