封切り三日目。
席数499の【SCREEN9】の入りは五割ほど。
随分と笑わせてくれる一本。
が、その笑いは苦くて後味の悪い黒いもの。
が、その笑いは苦くて後味の悪い黒いもの。
本作の主人公『ディック・チェイニー(クリスチャン・ベール)』が仕掛けたことの後遺症を
米国は勿論、世界規模でもいまだに引きずっているのを思い起こせば
本来的には あはは と済ませられる軽さではとてもない。
米国は勿論、世界規模でもいまだに引きずっているのを思い起こせば
本来的には あはは と済ませられる軽さではとてもない。
が、個人的にもっとも笑えたのは「トリクルダウン経済政策」の単語が出て来た時。
その結果アメリカでは格差が一層拡大したのではなかったか。
にもかかわらず玉条の様に唱えているどこかの国の政権があることがもう可笑しくて可笑しくて。
その結果アメリカでは格差が一層拡大したのではなかったか。
にもかかわらず玉条の様に唱えているどこかの国の政権があることがもう可笑しくて可笑しくて。
おっと閑話休題。
彼の存在感が増すに連れ、あるゆる負の事象がパンドラの壺のように湧いて出た。
全てが一人の男の権力への妄執の産物なのは寒心に堪えない。
もっともそれらを、どの様な意図で実行したのかを
今となっては窺い知ることができないのは辛いところ。
今となっては窺い知ることができないのは辛いところ。
劇中でも動機の面ではぼやっとした表現に終始してしまっている。
ではあっても、存命中の人物をこんなにこき下ろしても良いのかと
他人事ながら心配に。
他人事ながら心配に。
観る側を挑発するシーンも数多あり、作り手からの強いメッセージを感じる部分。
決定権に各種の制限が掛けられている大統領よりも、
一見権限の無さそうな副大統領の方が、
逆に曖昧な立場でより権力を奮いやすい点に目を付けた慧眼。
一見権限の無さそうな副大統領の方が、
逆に曖昧な立場でより権力を奮いやすい点に目を付けた慧眼。
しかしそれは自分の上に立つ人物が無能な時に限られるわけで
その点では『ブッシュJr.』からの就任要請はまさに渡りに舟。
その点では『ブッシュJr.』からの就任要請はまさに渡りに舟。
他方で彼の政策を当時歓喜の声で迎えたのもやはり多くの米国民。
そこからの揺り戻しを指向しているのであれば
彼の国のリベラルもまだまだ捨てたもんじゃない。
彼の国のリベラルもまだまだ捨てたもんじゃない。
評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。
たぶんに演劇的な要素を盛り込み、
また寓意的な映像を適宜挟み込んだり、或いは
実際の映像を使ったりと
かなり複雑な造り込みになっており
語り口自体は判り良いとは言えない。
また寓意的な映像を適宜挟み込んだり、或いは
実際の映像を使ったりと
かなり複雑な造り込みになっており
語り口自体は判り良いとは言えない。
なまじ殆どの出演者が実在の人物そっくりに扮しているので
虚実の境目が余計に曖昧になる錯覚もある。
虚実の境目が余計に曖昧になる錯覚もある。
それらの点をひっくるめて、かなり自分の嗜好には合致した一本。