RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

カラー・アウト・オブ・スペース-遭遇-@チネチッタ川崎  2020年8月1日(土)

封切り二日目。

席数244の【CINE6】は一席おきの案内なので実際は122席。
その全てが埋まる満員の盛況で、終映時には密を避けるため、
係員誘導による列毎の退場案内。

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アメリカの森林深く住む五人家族の屋敷の庭に
ある日、隕石が飛来、
一抱えほどもあり高熱を発するそれは、しかし
一晩を経て忽然と消失。

周囲で不可解なことが起き出したのは間も無くのこと。

最初は次男が「(見えない)友達と話している」と言い出し
次いで父親が奇矯な行動を取り出す。

家の周りでは鮮やかな花が咲き乱れ
昆虫は異形のカタチに変化。

時間の長さえ狂い始め、
やがて一家はじわじわと崩壊の恐怖に襲われる。


よくある侵略ホラーかと思って観ていたが、中途から
おやこれはちと違うんじゃ?と思い始める。
いや勿論、本筋はそれなのだが。

父親の職業は不詳。
画家との描写はあるも制作に勤しむ描写は無い。
幼い頃に受けた抑圧からか自分の子供に対しても強権的な振舞い。
実父の残した家に戻り、何故かアルパカの飼育に情熱を注ぐ。

母親はおそらく乳癌の手術を受けて間もない。
FPで生計の担い手。それもあってか、ホントは山奥に居たくないのでは、と
感じさせる言動の数々。

宇宙ヲタクの長男、長女は白魔術に凝っているのだが、三人の子供は何れも
就学年齢と思われるのに学校に行っている節は無い。

構成員夫々が利己的でばらばらな個として存在。
異変が起きても家族で力を合わせ、向き合う節が一向に見られず、
普通なら一致団結し対処するだろうに、押し付け合いや不信が渦巻き
各人の距離感は縮まらない。


しかし不思議なことに、各人の持つ願望は
地球外生命体により叶えられる。

父親は安息の家族を得、母親は溺愛する次男と一体化し、
長男は宇宙に消え、長女はチャクラが開き、次男は友人を得る。


表面的には平穏も、内実は違っている奥底が炙り出される
ファミリーストーリーとして観る。

対極にある物語として〔ポルターガイスト〕を思い出しながら。

家族のチカラが重なっていれば、
異なる結果になっていたろうか、と。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


もしくは抗い難いチカラに、なすすべもな征服される人類の
類型かとも思わせる。

他者への疑惑と、主我が蔓延る昨今の世情を鑑みつつ。