RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

天気の子@TOHOシネマズ日比谷 2019年7月27日(土)

封切り九日目。

席数489の【SCREEN12】の入りは六割ほど。

観客の中には幼稚園くらいに見える幼児が結構おり
かなり驚いてしまう。


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けして成就することはない、
しかし最後に微かな希望がちら見えする男女間の恋愛を
ぐじぐじと描き続けて来た『新海誠』が
方向転換への舵を切ったかなと思えた〔君の名は。〕。

前作を引き継いだ本作は、更に鮮明にそのスタンスを打ち出している。

過去からの鑑賞者はさておき、新たに掘り起こされた支持者を
より満足させようとの試みかな。

勿論、監督本人にとどまらず、プロデューサーの意向も
盛り込まれてはいるのだろうが。


実際に目で見るよりも美しく水分を見せる手腕。

音楽でも〔RADWIMPS〕がやはり担当することで
トータルコンセプト的な厚みを醸している。

視覚・聴覚の点では完璧な布陣も、しかし
肝心の世界観の設定や脚本がこれでは大幅なマイナス。

要は内容がかなりうすっぺらな訳で、百二十分近い尺を使わずとも
雲のむこう、約束の場所〕の九十分程度で十分に足りただろう
ではそのふやかした時間はと言えば、
先に挙げた 美しい映像 を披瀝するためのエピソードにひたすら使われており
かなり冗長に感じる部分。


さも大きなスケールで描いているように錯視してしまうけど、
実際は東京圏の極く狭い範囲内での異常気象がベースであり
また主要な舞台も、山手線のほぼほぼ内側に限定され広がりはない。

前回流行った聖地巡礼をやり易くする方便じゃあないよね?ちょっとあざとい。

また、思わぬ登場人物を出し、纏わる小道具を幾つか配することで
再見~再々見したくなる仕掛けを作り出したのも正直鼻に突く
(そうした意図から複数回劇場に赴く人も多数出るだろう、
或いは映像媒体を買うとか)。

かなりコマーシャリズムに毒された感がありありで
ちょっと辟易。

ほぼ一本道に近いストリー展開に加えて
セルフオマージュや他人の作品からの借用も多く見られ、
オリジナリティさが薄れているのも残念。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


おそらく『新海誠』にとっては、次作が勝負所になろうかと。

ムリに回帰する必要はないにしろ、斬新な仕掛けを打ちだしながらの
現時点の骨法を延伸する一本を期待。

たんだかんだ言っても嫌いな監督ではないので。