封切り五日目。
席数127の【シアター2】は、一席置きの案内だと64席ほど。
そのうちの七割くらいは埋まっている入り。
最近、意図的に鑑賞者をミスリードさせる造りの予告編が多いと感じる。
勿論、原作ありモノの場合は、未読の前提で。
本作もご多聞に漏れずで、
学生サークルの軋轢に巻き込まれ亡くなった知人の仇を取るため、
その暗部を探るサスペンスミステリーとの
印象を与える内容。
勿論、レッドへリングは用意され
どんどん返しも起こる前提で。
ところが本編冒頭からかなりの違和感。
過去と現在を往還しながら語られるそれは、
大筋では先の予想通りではあり、中途
卓袱台返し程度の、想定内の仕掛けはあるものの、
(この構図が、文書ではどう描写されているのか、
逆に原作を読んでみたくなったが)
予期だにしなかったテーマが浮かび上がって来る。
思春期特有の勝手な思い込みや潔癖さを
自分だけでなく、親しくなった周囲にも求め、
それが満たされないと、裏切られたと勝手に思い込む。
コミュ力があれば
そうはならないハズなのに、
会話で気持ちを上手く伝えられないために生じるズレ。
それが私怨へと転化し、鬱憤を晴らすため
周囲を巻き込んで暴走するとゆ~。
主人公『田端(吉沢亮)』の一人称視点で終始語られるため、
亡くなったとされる『秋好(杉咲花)』の側の態度が良く判らないのは
隔靴掻痒の感。
『田端』の彼女への思いも同様で、恋愛感情なのか、それとも
目的を履行する同志としての位置付けなのか。
もっとも後者の方が、裏切られたと感じた時の
報復度合いより強くなる気もするが。
評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。
他人を傷つけないための距離感とは方便で、
要は自分が傷つきたくないだけの裏返しの表現。
傷つけまいと取った行動が、
裏腹に傷つける結果になってしまうのは有り勝ち。
逆に意図的に傷つけようとすれば、SNS全盛の昨今、
その影響や範囲は甚大且つ取り返しが付かぬ。
極めてイマっぽい、
実際にそこかしこで現実に起きている事象を提示しながら、
屈折した青年の人間的な成長を語る。
もっとも、主人公が最後の最後まで
かなり身勝手で自己中なのは変わりない。
まさしくタイトルに示されている通り、傍から見れば
青く脆く痛い。
それでも、こうした一方的な思い込みの末に巻き起こる顛末の
ひりひりするような描写って嫌いじゃあない。