RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

アメリカン・アニマルズ@109シネマズ川崎 2019年5月18日(土)

封切り二日目。

席数89の【シアター8】は満員の盛況。


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冒頭、例によって「事実を基にした物語」である一文が提示されるも
すぐさま幾つかの文字が消され「事実の物語り(そのもの)」であると明示される。

制作サイドの茶目っ気なのかそれとも何かの思惑があるのか、
少々訝りつつも観客は本来であれば展開される世界に没入するところを
本作は更に一つの仕掛けを用意している。

それは実際に罪を犯した本人、および家族、
関係者や被害者までもがインタビューされ
それが映像として挟み込まれること。

映画的には珍しい手法も、本邦では
ワイドショーの再現ドラマに有りがちなので
さほど驚くには値しない。

ただエンドロールにも本人の協力であることがしっかりと示され
何処までも人を喰った造りではる。


「太陽が眩しかったから」とは〔異邦人〕の『ムルソー』の弁。

しかし此処での主犯の四人の動機はそれと同じくらいに
理由とさえも言えないもの。

マンネリ化した日々の暮らしからの脱却、程度の
漠然としたものだろうか。

なので主犯とされる人物もおらず、一方で
誰も明確に反対を表明しないため、計画はずるずるっといつの間にか
完成してしまう。

事後の各人の証言でさえ食い違っているくらいだから
明確な意思があったわけではないのだろう。


大学の図書館から稀覯本を盗みだす。

脳内でのシミュレーションは〔オーシャンズ〕シリーズ並の流麗さ。

けど実際には予期せぬアクシデントが次々と立ちはだかり
勿論、事前調査の杜撰さも祟り、
計画は変更につぐ変更を余儀なくされる。

オハナシであれば
二重三重の備えも僥倖もあるかもだけど
現実はそうは甘くない典型例。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


結果として嘱望された前途は叶わず
異なる道を選ばざるを得なくなる。

「若気の至り」とは昔からある言葉だけど
最近では規模も大きくなり拡散も広範で
その枠内からはみ出してしまう
許されない事案が増えて来ている印象。

ましてや本作の四人は
米国の大学生なんだから。

洋の東西を問わず共通の悩ましさだよね。