RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

マスカレード・ホテル@109シネマズ川崎 2019年1月27日(日)

封切り十日目。

席数345の【シアター6】の入りは九割ほど。


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『キムタク』はファンも多いがアンチも多い。
長澤まさみ』もそれは同様と思う。

ちなみに自分は『長澤まさみ』は大好きだけど
『キムタク』には特段の思い入れが無い。

しいて言えば、以前は何を演じても本人の枠から抜け出せなかったのが
直近ではようやく熟れて来た印象。

ただ、そのような過去の色眼鏡を外して観れば
本作はなかなかどうして良く出来ている。


所謂{グランドホテル}もの。

特定の場所に入れ代わり立ち代わり人が現れて
度毎に騒動が起きる。

しかしここでは少々の捻りも加えられているみたい。


舞台は都内に在る高級ホテル。
そこの宿泊客は皆が皆ヒトクセありそうな雰囲気を纏っている。

ほんのちょい役にも名の通ったキャストを使い
演技比べの面でもなかなか面白い。

殆どクレームに近いような難局に複数回対応することで
潜入捜査官の『新田(木村拓哉)』は次第にホテルマンらしさを身に着け
指導役のフロントクラーク『山岸(長澤まさみ)』との信頼関係も醸成される。


と同時に、一つ一つのエピソードが、物語の終局に向けての実は重要なパーツになる。

事件の真相解明がちっとも進まないのに、繰り返し語られるホテル内での
客とスタッフのやり取りはかなり冗長に感じる。

しかし何気ない応対のシーンや、そこで語られる過去の記憶或いは教訓も
全て大団円に向け収斂して行く鍵になるのだから、
あだやおろそかには観ていられない。


原作の既読者に聞くと、本編は物語をかなり忠実になぞっているらしく、
であればこれ等は脚本よりも作者の『東野圭吾』の手柄なのだろう。

昨年の〔祈りの幕が下りる時〕とはまた違った
ドラマの組み立ての巧妙さを感じ、
これは巧いなぁと、愛でる吐息が思わず出てしまう。


とは言うものの、或るアイテムをアップにするシーンがあまりに繰り返されるため、
見せ場での醍醐味が削がれてしまうやり過ぎ感はある。

スピルバーグ』が〔ジョーズ〕でやらかしたことの教訓は
あまり生かせてない様だ。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


〔マスカレード〕は現時点で三作からなるシリーズもの。

本作の興収次第では続編の検討も当然されるだろう、ましてや
エンドロールではそのことを思わせる画が既に挿入されているようだし。