RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

初恋@チネチッタ川崎 2020年3月1日(日)

封切り三日目。

席数407の【CINE11】の入りは三割ほど。

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ここのところ駄作が続く『三池崇史』の最新作は
いったいどこに「恋」の要素があるのよ、との
バイオレンスに満ち満ちた一本。

一方で残虐さの中に笑いやペーソスも盛り込まれ
観ていて飽きない仕上がり。

個人的にはこの種のはちゃめちゃな中身は
結構好きだったりする。


将来を嘱望されながら、
脳腫瘍で余命宣告をされた若きボクサー『葛城レオ(窪田正孝)』が
親の借金のカタに売春婦にされ、
更にはヤク中になってしまった少女『モニカ(小西桜子)』と出会うことで
物語りは動き出す。

二人が日本のヤクザと中国マフィアの抗争に巻き込まれ、
はては悪徳警官、(正しい)警察まで加わり
最後は〔フリー・ファイヤー〕状態に。


二重三重の裏切りが組み込まれ、
人物相関もなかなかに複雑。

中途思いがけないどんでん返しもありつつ、
が、語り口が比較的滑らかなので
ストレスなく観られる良さ。


準主演の『小西桜子』や
ヤクザの三下の恋人を演じた『ベッキー』など、
演技がなっていない役者も良く動かし、
一方でヤクザ役で『内野聖陽』や『染谷将太』等を傍で贅沢に使い、
特に後者は主役を喰ってしまうほどの怪演で楽しませる。


ただ監督の出自である
ヤクザ映画の芯に当たる仁・義はきっちりと盛り込む。

高倉健』のシリーズのような、
我慢に我慢を重ね最後に爆発する爽快さではなく
堅気に対してきっちりとケリを付け
将来に希望を持たせることで。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


そして直截的な表現はなくとも
繰返される暴力描写の中に
若い二人の純粋な関係性をそっと忍ばせ
本作のタイトルである「初恋」をも十分に示している。