RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

勝手にふるえてろ@109シネマズ川崎 2018年1月7日(日)

封切り三週目。

席数72の【シアター10】は満員の盛況。


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劇場での予告編も見ておらず、
事前情報もほぼほぼ無く、
本来であれば鑑賞しないであろう作品も
随分と世評が良い。

なので重い腰を上げ
観に行った次第だが結果は大吉。

昨年封切りの邦画の中でも
上位に数えられるくらい。


中でも、本作が(たぶん)長編初主演となる
松岡茉優』の出来がなかなか。

アップにも長廻しにも耐え、
複雑な性格の女子を等身大くらいの勢いで演じている。


見目は悪くないのに、中学時代から目立たぬ存在。

イケメンの同級生を王子様に見立て、
何時か彼と付き合えるコトを夢見る。

田舎から上京し就職しても
大まかな生活は変わらない。

友達は極端に少なく、近隣に触れ合える人も無く
都会で孤独を囲う存在。

でも、あれ、これって・・・・。
殆どのヒトにあてはまるシチュエーションじゃね?

自分では行動を起こさずに、でも周りの変化や
他人からのアクションを何の根拠も無く待っている。

『ヨシカ(松岡茉優)』の日常に呆れ
そしてあははと笑いながらも、自身のココロの中はちくりと痛い。


三十近くになっても、昔憧れた男子『イチ(北村匠海)』を勝手に王子化し
折りに触れ脳内に降臨させての妄想は爆裂。
加えて、「どうせ私なんか」と自分に自信も持てない
こじらせ女子ぶりも堂に入る。

「絶滅動物」を偏愛するオタク趣味に耽溺。
恋愛の経験はなゼロなのに、それなりに見栄は張りたい。

二重三重四重の「苦」を抱えつつ
それでも、そうありたい自分への幻想はしっかりと持つ。


そんな彼女をリアルに好いてくれる男性『ニ(渡辺大知)』が現われたことから
『ヨシカ』の生活は突然かまびすしく。

珍しく自分から起こした行動の結果は
果たしてどうなることやら、と
物語りは最後まで予断を許さない。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


巻き込まれ、勘違いな行動を取り、
破綻し団円する。

サスペンスの要素もきっちり盛り込んで
はらはらする緊張感が最後まで持続する。

それも、たっぷりの笑いとペーソスを孕みながら。