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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋@TOHOシネマズ川崎 2020年1月5日(日)

封切り三日目。

席数142の【SCREEN1】の入りは七割ほど。

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新春早々の一本は、暖かな気分に浸りたいとの思惑からの選択。

なんとなれば本日時点の「IMDb」で6.9、
「Metascore」では67と飛びぬけてはいないものの
まずまずの評価。

加えて原題の〔Long Shot〕は「望み薄」の本意ながら
「大穴」等の意味もしっかりある様で、
映画的には幸せな結末が十分に想定できるものだから。


女性が米国の国務長官になった例としては
コンドリーザ・ライス』が51歳、
ヒラリー・クリントン』が62歳の時が実例。

特に後者はその後、女性初の大統領を目指すも
2016年の本戦で『ドナルド・トランプ』に敗れたのは記憶に新しいところ。


本作は彼の国での政界、
それも若くして位を極めようとしている現国務庁長官『シャーロット(シャーリーズ・セロン)』と
彼女にスピーチライターとして雇われた『フレッド(セス・ローゲン)』の
恋と政治活動のてんやわんやを描いたもの。

邦題からは男性が主役に取れるけど、実際は女性も含めた二人の物語。


基本コメディも、昨今の世界情勢を鑑みると
特に環境問題を一つのテーマとした時点であまりにタイムリー。

現時点と五代前の米大統領を彷彿とさせる人物を配すことで、
政治の暗部を見せつつ(あ、カナダ首相の『トルドー』をあてこすっている
表現もあったな)、一方で
主人公にはしっかり正論を吐かせ対立軸を明確にする。

イマイマの『グレタ・トゥーンベリ』の論にも似た中身ながら
あくまでも外交手腕を駆使して解決させうとのスタンス。

対する旧弊勢力のやり口にどう対抗して行くのかも見所の一つ。

それ以外の設定も含め、苦く黒い笑いにも満ちている。


主人公二人の馴れ初めと、歳を経ての邂逅、
更には互いを意識するようになる流れはさらりと流しながら
それを肉付けするエピソードの数々がかなりユニーク。

政争と恋愛の二軸を上手く絡め脚本を組み立てている。

もっとも、現代の米国を描いた映画にありがちな、
同国の住人でしか判らない文化・風習をベースにした表現が多々で、
日本人が観てその半分も、いや1/3も理解して
ギャグを笑えるかと言えば、その点はかなり疑問。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


一方で「PG12」のレイテイングが付けられているのは、何故に?と思っていたら
会話や行動の節々に下ネタがたっぷりとまぶされており、
勿論それは良い意味で、本編を象徴する笑いどころ。