RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ゴーストマスター@チネチッタ川崎 2019年12月7日(土)

封切り二日目。

席数138の【CINE3】の入りは四割ほど。

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レイティングは「R15+」。

てっきり主演格の『成海璃子』がぺろっと脱ぐのかと思ったら
全然そんなことはなくて、ちえっ、つまらん。

要はホーラーチックなシーンが幾つかかすっているからで
この程度で昨今は鑑賞制限になっちゃうんだ。

オマケに中盤迄はまずまずの展開も後半に差し掛かると
フライヤーの惹句にもある「究極の映画愛。」が溢れすぎて暴走気味、
かなりつまらない作品に堕してしまっているし。


とある廃校で、今しも胸キュン青春映画の撮影が
クランクアップを迎えようとしている。

しかし肝心のシーンがどうにも決まらず
リテイクが繰り返される。

苛立つ出演やスタッフたち。

そんな時に常に鬱憤をぶつけられるのが
助監督の『黒沢明三浦貴大)』。

気持ちの優しい映画オタも、何時かは監督になり
自身の脚本で一本を撮ることを夢見ている。

ただね、おそらくそれは叶わぬだろうと思われる。
だって監督なんて非情さがないとできないもん。
彼は気が弱すぎでしょ、との基本設定。

その時のために推敲を重ねて来た脚本〔ゴーストマスター〕を
出演者からも監督・プロデューサーからも否定され、
憤怒が脚本に憑依し、ついには悪霊と化し暴走する。


底本に在るのは『トビー・フーパー』の〔スペースバンパイア〕。

悪魔のいけにえ〕でもなく〔ポルターガイスト〕でもなくで
同時代に観ている自分的には正直、失笑作品。

それへのオマージュと、幾つかのシーンのコラージュが
作品の核に有ること自体がそもそもダメダメな発想なんじゃ、と
思わぬでもない。


リスペクトする監督の名前をつらつら挙げるのを筆頭に
映画好きなら笑える要素は多々。

一方でスタッフの苦しい生活を語らせたりで
しんみりとさせる挿話も。

第四の壁を(文字通り)打ち破る場面もきっちり用意され
ある意味想定通りの展開でディテイルは奮っていても
肝心のプロットがなぁ、どうにもつまらん。


ホラーの様相を呈しつつもまるっきり怖くはなく、
しからばギャグものへと振り切れもせず。

グロなはずのVFXも妙にキッチュでチープと
全ての面で徹していないの良くなくて。

気ばかりが逸り、足が地についてない状態で
最後まで流してしまっている。


評価は、☆五点満点で☆☆☆。


TSUTAYA」主催のコンペティションTSUTAYA CREATERS'PROGRAM FILM」で
2016年の準グランプリと聞いている。

過去の受賞作を見ると
2015年に〔嘘を愛する女〕がグランプリ、
同年〔ルームロンダリング〕が準グランプリとなかなかに粒揃い。

それに比すると本作は、やや落ちる鑑賞後感。