RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ハード・コア@109シネマズ川崎 2018年12月1日(土)

封切り九日目。

席数89の【シアター8】は満員の盛況。


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随分とチープな外見の古びたロボット『ロボオ』は
現代科学でも成し遂げられてない小型化された量子コンピューターを格納。
その動力源が何かは良く判らないことはさておき、
極めて高性能。

『ロボオ』を見つけ出した『牛山(荒川良々)』は
童貞なのに加え風采が上がらないながら、
嘗ての驚きの経歴がやがて明らかになる。

赤の他人の『牛山』のことをなにくれと気に掛ける『権藤右近(山田孝之)』は、
そのハードボイルドな外見とは裏腹
純粋で世間ずれしておらず、思い込んだら一本気の性格。

弟の『権藤左近(佐藤健)』は兄とは真逆、大手の商社に属するやり手で
女子社員とも宜しくやりつつ、しかし何かの満たされなさを感じている。

中途から現れ、『右近』を惑わす『水沼多恵子(石橋けい)』は
その外見からは想像もつかないようなニンフォマニア

政治結社の党首『金城』やその番頭『水沼』も同様に
イマドキの日本では生き辛い人々。


こういった癖のある人物(含む『ロボオ』)が次々と登場するも、
各人が抱える二面性と、世間的には異端との共通点はある。

彼等が紡ぎ出すドラマは、
特に現代社会へのアジテーションになっているわけでもなく、
風刺表現になっているわけでもなく、
あくまでもファンタジーとして収斂し、
そこに苦みは見えない。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


カラミが幾つか描かれるので「R15+」の設定になっているよう。
が、兄のそれと弟のそれでは、
正反対の意味合いを持たせている工夫がある必要不可欠のエピソード。

笑えるシーンもそこそこにあり、中でも
『牛山』が「月に吠える」場面はかなり笑撃的。


そして最終的には、兄弟愛と隣人愛の物語りに収斂するも
多くの要素を盛り込んでいるために省略も多目で
120分の尺では全く足りず
間隙を埋める想像力もかなり必要とされる不親切な造りになった恨みはある。