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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法@チネチッタ川崎 2018年5月13日(日)

封切り二日目。

席数244の【CINE6】の入りは三割ほど。


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黒人の貧困層を主題にした作品は多い。

一方で白人の方はと言えば、直近では
ドント・ブリーズ〕あたりがそうだろうか(設定はちょっと違っているけれど)、
随分と少ない気がする。

また最近では、「ラストベルト」が取り上げられることもあるけど
本作の舞台は陽光溢れるフロリダ、
しかも多くの人が一度は訪れたいと思っているであろう
ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート」の直ぐ近く。


「マジック・キャッスル」なるモーテルは
いかにもそれっぽい名称に加え外観も魔法の世界から抜け出したような
キッチュな色合い。

そこに住む6歳の『ムーニー』と母親の『ハリー』は
週極めの滞在費の支払いすらも遅延気味。

ボランティア団体の施し、ダイナーで働く友人の母親からの裾分け、
そして観光客相手の詐欺まがいの商売で糊口を凌いでいる。


映画はそんな彼女らの日々の暮らしを『ムーニー』の視点から描く。

それにしてもこの母娘、貧困がその遠因かは判らないけど
言葉遣いは汚いわ態度は悪いわで、共感できる要素が欠片も見当たらない。

女の子の悪戯にしても、度が外れており
観ていても思わず眉を顰めてしまう。


しかし何かしら憎めない横顔がちらちらと見えて来る。

そういった側面を認めて、なにくれと気に掛ける
モーテルの管理人『ボビー(ウィレム・デフォー)』が居る。

彼は貧困が連鎖することを認識しており、特に娘の方だけでも
底辺から抜け出させたいと願っている。

が、その気持ちは二人には伝わらない。
気難しいオヤジと、迷惑に思われる程度。


すぐ傍に在る夢の国とはあまりにもかけ離れた生活。

それは例えば
年端も行かない子供が、人から施しを受けることに
何の罪悪感も疑問も持たないことに象徴的。

毎日のように聞こえるヘリコプターの爆音は
セレブが移動に使うものだろうか。

そういったさりげない対比が、次第に
見る側の心に言いようのない憤りをもたらす。


淡々と日々の生き方を描くだけで
社会が孕む問題点をぐりぐりと抉るように炙り出して来る。

脚本が頗る冴えている。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


唯一我々が希望を見出すとすれば、
母親が娘をネグレクトしようなどとは露ほども思っていないこと。

教養の有無は別として、その愛情の深さには
じんとさせられる。