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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

無垢と経験の写真@東京都写真美術館 2017年1月2日(火)

続いて足を向けた【2F】は
大判の作品が多いせいだろうか
上階に比べれば人影はまだ疎らな印象。

しかし「日本の新進作家 vol.14」ともあるように
場内の作品からは並々ならない覇気のようなものさえ感じられる。

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計五名の作品は何れも過去に観た記憶もありながら
改めて眼前に突き付けられると、
思わず仰け反ってしまうものさえ存在する。

例えばそれは『片山真理』の写真に顕著。


初めて彼女の作品に接した時には
思わず後ずさってしまった。

有態に言ってしまえば、両下肢が見当たらないことに。

が、それでもその肢体は
挑発的で蠱惑的だ。

そのアンバランスさに
こちらの心情がかき乱される。


『金山貴宏』の作品は、ある意味ズルいと思った。

自分の母親を中心とする三姉妹のクロニクル。

これが面白くならない訳はないだろう。

歳月が残酷に個人のカラダを切り刻んで行く様を
記録は容赦なく見せてしまっている。


『鈴木のぞみ』の作品は
多くの人にとっての懐かしさに満ちている。

昔住んでいた家の、窓から見た景色はこんなだったか。

祖父母の家の鏡台は、部屋の中のこんな情景を映し出していたか。

或いは、手鏡に写っているその顔は
親しい女性のそれだったか。

何れもぼうとした映像は
しかし、脳裏に刻まれている記憶そのものかもしれない。