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アジェのインスピレーション@東京都写真美術館 2018年1月2日(火)

例年通りこの日は全館無料と勝手にほくほくしていたら
なんと今年は【B1F】の”生誕100年 ユージン・スミス写真展”に限っては
通常通りの営業だなんて、チェッと毒づくも、
いやいや二つも無料開示してくれるだけでもありがたいコトと思い直し
いそいそと足を運ぶ。

 

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先ずは【3F】の標題展からね。

 

本催しも随分と周知が進んだためか、
年々来場者が増えて混雑の度合いが増している印象。

 

でも訪問時間を計り、人の流れの間隙を上手く縫えば
脚は使うけれどストレス無く鑑賞できるのも
技の一つかも。



「ひきつがれる精神」との副題が冠されている。

 

入り口に近い場所からずらりと並んだ『ウジェーヌ・アジェ』作品は
何れも変哲の無い場所やそこに住まう人達を切り取っている。

 

しかしそれらは、今こそ何らかの形で記録しておかないと
その内に消えて行ってしまうであろう寂寥感や
懐かしさにも満ちている。



そして続く『マン・レイ』『シャルル・マルヴィル』等の写真家の一枚からも
同様な印象を受ける、もっとも、後の時代の人間が観るからこそ
その様に受け取ってしまうのかもしれないけれど。

 

1931年に撮られた『ウォーカー・エヴァンズ』の
〔玄関口、ニューヨークシティ〕とまるっきり同じ場所を
1937年に『ベレニス・アボット』が〔戸口、西13丁目204番地〕として
撮影していることも、ある種のオマージュなのだろうか。



そしてそのような流れは『森山大道』『荒木経惟』等の
日本の写真家にも引き継がれる。

 

彼等が撮る〔東京〕の或いは〔新宿〕の情景は
猥雑さとと共にもの悲しささえ感じさせる。

 

欧州の街に比べても、(おそらく)変化の速い都市の在り様が
余計にそんな想いを抱かせるのかもしれない。



会期は~1月28日(日)まで。