RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

3月のライオン 前編@109シネマズ川崎 2017年3月19日(日)

封切り二日目。

席数130の【シアター2】は満員の盛況。


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原作は「講談社漫画賞」「手塚治虫文化賞」受賞。
未読ではあるけれど、NHKで放送されている深夜アニメを
ぱらぱらと見てはいるので、
設定や人間関係についてはおぼろげながら把握できている。


本作は後編に向けてのイントロダクション的な位置付け。
先に挙げた二つの要素を判り易く描くことに腐心しており、
それが甚だ上手く行っている。

特に棋士の、時として人臭ささえ感じさせる描写が
かなりこなれている。

普段我々は紙誌での棋譜やタイトル戦の動向でしか
彼等を知らない訳だけど、考えて見れば棋士とて一個の人間、
個人的な問題や悩みを皆が皆抱えているハズで、
それらを印象的なエピソードを使いながら
丁寧に積み上げている。

当然、幾人かは
実在の人物を彷彿とさせ、
これってあの人かも、などと考えながら観るのも楽しいし。


それらのシーンは、当然
主人公である『桐山零(神木隆之介)』に関する部分が一番多く、且つ
印象にも残る。

加えて義理の姉である『幸田香子(有村架純)』との関係性については
謎の部分も多く、今後に含みを持たせる内容になっている。

また唯一、その人となりに言及されていない、現名人の
『宗谷冬司(加瀬亮)』が居り、これが今後どのように
描かれるのかの楽しみもある。

何れにしろ、全体としては上々の滑り出し。
後半部への期待がたっぷりと膨らむ。


タイトルが踏まえてでいるであろうイギリスの諺は
「3月はライオンのようにやってきて、子羊のように去る」。

果たして多くの登場人物にとっては
暖かな四月が来るのだろうか。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


上映の中途で
その声音や表情から薄々感じてはいたけれど、特異な容貌の
『二海堂晴信』を『染谷将太』が演じていたことを
エンドロールで改めて驚くことになる。

まるっきり違和感が無く、日本の特殊メイク
(デジタル補正はされているかもしれないけど)の技量の向上にも
驚かされる。