RollingStoneGathersNoMoss文化部

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カラーパープル@TOHOシネマズ六本木ヒルズ 2024年2月10日(土)

封切り二日目。

席数157の【SCREEN1】の入りは七割ほど。

 

 

カラーパープル〕は1985年の
スティーヴン・スピルバーグ』監督による{ストレートプレイ}版
(正しい表現ではないのだが{ミュージカル}の対語として)も観ているが
その時とは鑑賞後の感じ方が随分と異なる。

強いて言えば、
前作は黒人女性の「リベンジ」を含めた「自立」の物語り、
対して本作は大いなる「許し」「寛解」の物語り。

今回『スピルバーグ』は製作として名を連ね、
クインシー・ジョーンズ』は
おそらく音楽関連だろう同様にクレジットされており。

原作者の『アリス・ウォーカー』は
娘の『レベッカ』と共に製作総指揮としての立場だが
その影響もあるのだろうか。

(もっとも、もう四十年も前に一度観たきりなので、
記憶はかなりあやふやなのだが・・・・)。


先の作品でも何れも良質な音楽は既にして印象的だった。

冒頭、二人の少女が歌いながら手遊びをするシーン、
『セリー』の夫『ミスター』の横暴を揶揄するように歌うシーン、等々。

{ストレートプレイ}にもかかわらず
多くの楽曲で溢れていた。

本作は{ミュージカル}とのこともあり、
その面では更にパワーアップされている。
外連味のある集団でのダンスシーンを含めて。

また、鳥肌が立つほどの
最期の一連のシークエンスはとりわけ感動的。


とは言え、黒人女性が虐げられてきた歴史の描写はそのまま。

ただでさえ白人からは差別されているのに、
その中でも女性は一段低い地位に在り、
生まれては父親から、嫁いでは夫から暴力と性的な抑圧を受ける。

まさに女は三界に家無しの状態が、
親から子から孫へと連綿と繋がって行く。

もっとも、そうした男性の側も
親から女性に対しての偏見を教え込まれ、
暴力を振るうのを当たり前に見てきたことを考えれば、
子供は育てたように育つとも言うべきか。


そうした負の連鎖を断ち切るきっかけは
社会環境の変化もさることながら、
個人の心の解放が大きな要素となることが印象的に描かれる。

やはり記憶に残るシーンは
訪ねて来た夫の父親に水を出す時に
コップの中に唾を吐き入れ素知らぬ顔で渡すなどの
最初は小さなレジスタンス(これは先作でも同様)。

やがて次第に大きなうねりとなり、
激しい抵抗へと昇華する。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


一つ主人公に限らず
牧師の娘でブルース歌手の『シャグ』についても
同様な「許し」がサイドストーリー的に語られる。

彼女は『セリー』を導く役柄が有りつつ
個人的な葛藤は抱えている。

もっとも、こちらに暴力性は絡んではいないのだが。


総じて、単なる{ミュージカル}化ではなく、
イマらしい要素も取り込んだ「リメイク」が本作の本質ではないか。

『ミスター』を
直ぐに暴力に頼る粗野な男とステレオタイプに貶めるだけでなく、
複雑な人間性を付加したこともその要素になっている。