「大学院美術研究科」の標題展は【上野キャンパス】全体で開催されているものの、
自分が観て回るのは時間の関係もあり、
どうしても二ヵ所きりになってしまう。
それでも丁寧に拝見すれば、
そこそこの時間になるのだが。
とは言え今回も、とってもおバカな作品に出合えなかったのは残念。
もっとも、自分が会場を後にするタイミングで
その手のパフォーマンスが演じられてはいたよう。
そんな中(おバカではないけれど)、
『陳雨心』の〔テセウスの船〕には、おや?と考えさせられた。
作品自体は複数枚の写真で
写っているのは若い女性。
先のパラドックスは物体に対してのものだが、
それを人間に当て嵌めた時にどうなるのか。
我々の細胞は刻々と新しいものに入れ替わっており、
果たしてこの身体は数ヶ月前と同一であるのか
(たとえ形が相似としても)、と。
これは{先端表現}のパート。
{日本画}では『大嶋直哉』の〔オブスクラ〕を面白く観た。
「オブスクラ」はラテン語の「暗い」意も、
我々が良く存じているのは「カメラ・オブスクラ」。
それを使用した時に、壁面にはどのような像が結ぶのか。
{彫刻}は力作が多かった印象。
『栗田大地』の〔不動のようで蠢いていた〕は
複数の人がキメラのように、溶け合い融合する姿が
なんともショッキングな造形。
会期は~12月21日(木)まで。