RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

君は放課後インソムニア@TOHOシネマズ日比谷 2023年6月25日(日)

封切り三日目。

席数98の【SCREEN2】の入りは三割ほど。

 

 

原作は未読だったものの、
直前になってふと思い立ち
コミック既刊13巻のうち
12巻までをアプリで一気読み。

高一から始まった物語は
漸く高三に差し掛かった時点で
この後の展開が更に楽しみな状況ではあるものの、
二時間尺の映画で
どう落とし前をつけるのかも興味の的。

カテゴリー的には
〔君の膵臓をたべたい(2017年)〕に代表される
{ボーイミーツガール}+{難病モノ}の王道を行くものと理解。
とは言え、先の作品がそうであったように、
一捻りは欲しいところ。


主人公の二人は共に「不眠症インソムニア)」。
そうなってしまった経緯は異なるも、
近しい人間にもそれを明かしていないのは共通。

それが、校舎に併設された
今は使われていない天文台で出会い、
互いの秘密が吐露されることで
『中見丸太(奥平大兼)』と『曲伊咲(森七菜)』の
距離は一気に縮まって行く。

そこから先はお決まりのパターン。
ただ、若干の設定変更はあるものの、
印象的なエピソードはそのまま使い
ストーリーを紡いで行く制作陣の姿勢は好ましい。

一つ一つの挿話が際立ちながら連携も取れているので、
いたずらにこねくり回さずとも
丁寧に繋いでいけば心に残る物語として十分に機能することをちゃんと心得ているよう。


もっとも、これだけの長編を
トリミングしたことの歪みは各所に。

とりわけ二人を取り巻く人物、
養護教諭『倉敷(桜井ユキ)』、
天文部のOB『白丸(萩原みのり)』、
『伊咲』の三人の女友達との関係性が
バッサリと切られているのはどうにも辛い。

彼や彼女等にも夫々のドラマがあり、
原作ではそれがストーリーにきちんと嵌る構成になっているだけに余計。

また、おそらくは、今後のキーポイントとなるであろう「難病」が
本編中では十分に生かし切れていないのも残念。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


本作も、
漫画のキャラクターと顔が似ている役者さんを起用との
最近の流行りを踏襲。
ため、物語世界に違和感無く入って行けるメリットが。

が、唯一の例外が『伊咲』を演じた『森七菜』で、
少なくとも容姿はまるっきり似つかない。

それが不思議なことに
彼女の仕草や口調が次第にシンクロ、
まるっきり同一のキャラクターになってしまう。

この変容が素晴らしい。
その為だけにも、原作を読んだ上で鑑賞する価値はあり、で。