封切り三日目。
席数138の【CINE3】の入りは二割ほど。
そのタイトルから、
てっきり件の鳥は「墓場鳥」との別名もある
「小夜啼鳥=ナイチンゲール」ではと思っていた。
その方がなんとなくのおどろおどろしさもあるし。
ところが何のことはない、
映し出されたのはどうやら「錦鶏」で、
それも鳴く理由は
発情期になると雄が他の雄を牽制するために
金属的な声をあげ、同時にメスを呼ぶのだと。
まぁある意味、映画の内容の通りではあるものの、
かなりがっかりな背景。
監督の『城定秀夫』は
前作の〔ビリーバーズ〕でも『北村優衣』を脱がしており、
そのことは評価できるも、内容的には今一つ足らないモノがあり、
本作に於いても同様。
もっともその間に脚本として参加した〔よだかの片想い〕は
誰も脱ぎはしないものの、なかなかの秀作に仕上がっており
どうにも振れ幅が激しい。
とは言え次作の〔恋のいばら〕はたぶん観るのだろうな
『松本穂香/玉城ティナ』のW主演だし。
おっと閑話休題。
またまたまたまた、
またまたまたまた、
十代で華々しくデビューし、新人賞は獲ったは良いが、
その後は全く売れなくなった作家が主人公。
今年だけでも同設定の作品を何本観たかと嘆息するほど
手垢の付いた。
このモチーフはバリエーションを組み立て易いとの証左だろうか。
書けないのは自身のせいであるのに、
結婚はしていないものの家計を支えている糟糠の同棲相手には八つ当たり、
同人仲間の歯に衣着せぬ物言いに暴力で応え、
作品を吐き出すプリンターにすら破壊行為を繰り返す始末。
もう、何をか言わんやのていたらく。
当然、周囲から人は離れ、孤独を託つようになる。
彼がイマイマ寝起きするのは母屋から離れたプレハブ小屋。
何故、そんな暮らしをおくっているかはおいおい語られるものの、
ある日、母屋の方に一組の母子を迎え入れる。
そこから物語が転がり出す。
過去の仔細を挟みながら、奇妙な同居生活の行く末には
何が待ち受けるのか。
とは言え、特段のドラマチックな展開が待ち受けるわけでなく、
ストリーは静かに進行し団円を、一人の男の再生を迎える。
驚くような流れを期待していた当方には、
拍子抜けするほどのあっけなさ。
唯一激情が迸るのは、主人公と迎え入れた母親との絡みの部分。
評価は、☆五点満点で☆☆☆★。
過去のエピソードの挿入や場面を転換する時の処理は
ホントに巧いなこの監督と感心。
また、主人公が創作に行き詰まり、
ふと見上げた窓を通して感じられる母屋の灯火の温かみの表現は特筆もの。
とは言え、一編の流れとしてのインパクトは極薄、
何故にこの企画が挙がったのかさえ懐疑的に思え、
そんなに『松本まりか』の濡れ場を撮りたかったのか、との邪推が・・・・。