RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

バイオレンスアクション@109シネマズ川崎 2022年8月20日(土)

封切り二日目。

席数127の【シアター2】の入りは五割ほど。

 

 

本作のフライヤーには
「ふわふわヒットガール」なる惹句が書かれているが、
「ヒットガール」=『ミンディ・マクレイディ』であり、
キック・アス(2013年)》で彼女を演じた
当時十三歳の『クロエ・グレース・モレッツ』こそが
それである。

「R+15」のレイティングだけあり、
「道徳的にけしからん」との批判を浴びながらも、
彼女の過激なアクションとお下品な科白の乱発は一方で激賞された。

しかし、
続編の『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー(2013年)』での
十六歳になってしまった『クロエ』はもはや「ヒットガール」とは言えず
(役の上での)劣化は激しい。

思えば、人と作品が僥倖のように巡り合った奇跡的な一本であった。

それと重ね合わせた表現は、あまりにおこがましいだろう。


とは言え、本作での『橋本環奈』は、なかなかどうして
良くやっている。

(おそらく)スタントを使い、撮影アングルと編集の妙でやり繰りした
アクションシーンはさておき、
特に顔がアップになった場面での透明感が際立つ。

まさに、今でしか表現できない旬を掬い取ったと、
その点は評価に値する。


とは言え、一つの作品として観た時に、
ガッカリ感が充満しているのは否めない。

カーチェイスのシーンは、日本映画にありがちなチープさだし、
登場人物は皆々が〔13日の金曜日〕の『ジェイソン』さながら、
神出鬼没にあらゆる場面に都合よく登場する。

送迎ドライバーの『ヅラさん(岡村隆史)』も強いのか弱いのか判らん設定だし
(あ、これは殺し屋の『金子(森崎ウィン)』にも言えるか)、
仲間として迎え入れられる『渡辺(鈴鹿央士)』に至っては存在意味さえ疑問。


肝心のバイオレンスシーンは、感情を排した表現で、
人をモノの様に扱うのはスタンスとして理解できるも、
『ケイ』の超人的な身体特性を魅せたいのか、
それとの半分ギャグのような描写をしたかったのかも判然とせず。

主人公が「日商簿記検定2級」を目指すのは、
所構わず勉強を始める可笑しさには活用可も、
その背景があまりに不明の為、どう受け入れて良いのか苦慮してしまう。

全てが中途半端に取り込まれてしまい、
ユニークな設定が活かせていない残念な組み立ての数々。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


最強の組員『みちたかくん(城田優)』の使う武器は面白かったものの、
同じ仕組みの〔ノーカントリー(2007年)〕の殺し屋
『アントン・シガー』に比べると凄みは甚だ落ちる。

とは言え、こうした「軽み」が
本作の全体を貫く特徴なのかもしれぬ。