RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ハケンアニメ!@109シネマズ川崎 2022年5月21日(土)

封切り二日目。

席数118の【シアター5】の入りは三割ほど。

 

 

映画版〔ホリック xxxHOLiC〕での収穫は、
ほぼほぼ『吉岡里帆』の巨乳だけだった、との
何とも残念な結果で、あまつさえ
過去の『蜷川実花』作品に比べればその露出度は低め、
監督に対しては次回作に向け
猛省を促したいところ。


さて、その『吉岡里帆』。

「どんぎつね」で魅せるコケティッシュさ、
〔見えない目撃者(2019年)〕での存在感。

演技派とはまだまだ評せないものの、
なりきり感はたいしたもので、
役柄からの匂いがぷんぷんと漂って来る造り込み。


そんな彼女が今回演じるのは
アニメ作品の監督。

それも、その初回作を以って
覇権=ハケンを獲ると豪語する勢いの。

もっとも、業界的には一度の失敗が命取り。
退路を断ち、自身を奮起させるとの意図もあるよう。


最初タイトルを見た時は、ハケン=派遣だと、
厳しい労働環境の日本のアニメ業界を描いた作品と
勝手に思い込んでいたら、まるっきり違ったのね。

勿論、冒頭のシークエンスでは
多くの人々が携わる制作の状況が語られる。

当然これは、最後のエピソードに効いており、
映像に於ける巧い伏線の張り方とも言える。


大団円は「友情、努力、勝利」の三大原則とはなるも、
それに至る過程が良く出来ている。

目標でありライバルである先達の監督に
『王子千晴(中村倫也)』を配し、
一癖も二癖もあるプロデユーサーには『行城理(柄本佑)』、
また獅子身中の虫が居る一方、作品に真摯に向かうスタンスに
次第に感化される周囲の流れもある意味王道、
見ていてついつい胸が熱くなる。


また、この手の作品にはお約束、
エヴァンゲリオン}や{ガンダム}からの科白やビジュアルの引用も度々で、
軽いアニメファンをも楽しませる脚本も善し。

一方で〔あしたのジョー〕や〔エースをねらえ!〕〔スペースコブラ〕あたりでの
『出﨑統』による演出への言及もありで、ついニヤリとしてしまう場面も。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


劇中で度々言及される「人生を変えるほどの一本」には
まだ出会ったことが無いけれど、
今でも記憶しているトラウマになった作品は間違いなく存在する。

それはアニメ版の〔海のトリトン(1972年)〕。

最終回でとんでもない卓袱台返しが行われ、
自分が今まで見て来た正義とか価値観がガラガラと崩壊。

最初は何が起きているのかさっぱり理解できなかったほどの逆転劇。

コミックのみかえしで、『手塚治虫』自身がいみじくも
「テレビまんがのほうは、ぼくがつくったものではありません」と
わざわざ言及するほどの。

長じて『富野喜幸』の作品であることを知り、なるほどと納得するのだが、
似たような設定は、本作でも取り込まれているよね。